都市全体が発電所に!? 超薄型・超軽量の太陽電池[2021/10/03 19:00]

 日本時間の4日から「ノーベル賞」の発表が始まります。有力候補の一人でもある日本の研究者が開発したのが、次世代の「太陽電池」。折り曲げられて紙のように軽い、この技術が未来を変えると世界中で注目されています。

 超軽量の次世代太陽電池。普及すれば、いつでもどこでも持ち運べ、都市全体が発電所に変わる未来も…。

 東芝研究開発センター・都鳥顕司さん:「都市部の中に、この太陽電池を設置して、まとめてメガソーラーを作ることができるようになる」

 すでに、実現に向けた動きが。ポーランドの企業が、世界で初めて販売を始めたのが…。「ペロブスカイト」と呼ばれる、フィルム状の超薄型太陽電池。

 最高技術責任者・オルガさん:「地球を暮らしやすい場所にするために、このテクノロジーを使う」

 気候変動が各地で激しさを増すなか、脱炭素社会の実現に向けて今、世界中で開発競争が激化。

 最高技術責任者・オルガさん:「宮坂教授は、非常に重要な仕事をした。ペロブスカイトで歴史を変えた」

 実は、この画期的な太陽電池を発明したのは日本人。毎年、ノーベル賞候補にも上がる、世界的な科学者・宮坂力特任教授です。厚さは、超薄型の0.13ミリ。フィルム状で、折り曲げも自在。

 桐蔭横浜大学・宮坂力特任教授:「弱い光でも発電できる。少し曇った日、雨の日でも発電できる」

 屋外で、この小さな太陽電池をプロペラにつないでみると…。

 曇りなんですが、ペロブスカイトにつないだ途端に、ファンが回り始めました。

 続いて、室内で蛍光灯にあてると…。

 蛍光灯の光りがあたって回っています。

 これまでの太陽光発電は、住宅の屋根の上に設置したり、「メガソーラー」と呼ばれる大規模な発電所が一般的ですが、平らな土地が少ない日本では、設置する場所が足りなくなっています。

 その課題も解決できるのが「ペロブスカイト太陽電池」です。

 半透明にもなり、壁やガラスなど、すでにある建物や環境を生かして、貼りつけられるのが大きなメリットです。

 桐蔭横浜大学・宮坂力特任教授:「住宅の北側の壁とか、外から見えない場所も使える」

 弱い光でも発電できるので、室内の壁や机など、これまでは考えられなかった場所でも使えます。さらには。

 桐蔭横浜大学・宮坂力特任教授:「洋服に縫い付ける」

 手軽に持ち運べ、非常用電源としても期待されています。主な原材料は国内でまかなえるため、大量生産できればコストも従来の半額程度で済むといいます。

 日本のメーカーでは、先月「世界最高レベル」を実現。

 こちらが、東芝が新たに開発した、フィルム型のペロブスカイト太陽電池の試作品です。この大きさで世界最高の変換効率を達成したということです。

 2025年の製品化を目指します。

 東芝研究開発センター・都鳥顕司さん:「日本全国で10基分以上の原発に相当する再生可能エネルギーの発電量ができるようになる」

 最高技術責任者・オルガさん:「高層ビルが発電所になり、そのエネルギーを、その場で使えることを想像してみて下さい」

 来年春には、中国などの企業も販売を始めようとしています。

 桐蔭横浜大学・宮坂力特任教授:「(日本は)加速しなければ(世界に)追いつかない。加速するために若い人のやる気と、やる気を後押しする研究資金。そこは絶対に支援してほしい」

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