“時短無視”店増加か「認証制度」形骸化のおそれも[2021/10/03 22:30]

緊急事態宣言が半年ぶりに全面解除されて迎えた週末、宣言が緩和された観光や飲食の現場ではさっそく変化が起きていました。

▽“宣言解除”全国の観光地に変化
(佐々木一真アナウンサー)「緊急事態宣言が解除されて初めての日曜日です。横浜にあります、八景島シーパラダイスにも賑わいが戻ってきました。ここイルカショーの会場に入ることができる人数も制限が緩和されたということです」
イルカショーは、宣言中1000人の入場制限がありましたが、解除により1400人まで緩和されました。
感染対策を徹底しながら始めた秋のイベント。日常が少しずつ戻り始めていました。
「動物にふれあいたいって子どもたちの希望があって来ました」
「久しぶりに来て、子どもたちが楽しそうにしているのがすごくうれしいですね」
きょう来てみてどう?
「楽しかった!」
「(宣言中は)ずっと家で子どもと遊んだりしてたんですけど、宣言が明けたからこの機会すごく楽しく遊べて良かったです」
都道府県をまたぐ移動の自粛要請が緩和され、全国各地の観光地には、多くの人が押し寄せました。

「36度3分、ありがとうございます」
「こちらの方をご記入いただいて提出をお願いします」 
県をまたいだバスツアーも、本格的に動き始めました。
東京からおよそ240キロの中央アルプスに、いま真っ盛りの紅葉を見に行く、日帰りのバスツアーです。
感染対策のため、乗車率を70%に制限したバスは、予約で完売。
午前7時―、参加者のはやる気持ちを乗せて、新宿を出発しました。
(添乗員)「みなさんストレスたまってますよね。自粛頑張っていただいたのでちょっとじゃあ旅にでも行こうかと…」
しかし間もなく…
宣言解除と行楽シーズンが重なって20kmを超える大渋滞。これには、参加者たちも…
「…」
(添乗員)「マイカーの台数が通常の倍以上。他県のナンバーの方がすごく多かったのでやはりそういったものも原因かなと」
目的地は、標高2600mにある、
雲上の絶景スポット「千畳敷カール」。
予定を3時間以上オーバーした、午後2時過ぎ。ようやく、ロープウェイ乗り場にたどり着きました。
あいにくの曇り空ながら、目の前に広がったのは、まさに絶景。
黄色や赤に木々が色づき、折り重なっていました。
(参加者 佐藤まゆみさん)「見て、お父さん、きれい!ねぇ素晴らしい」
散策しながらも、写真を撮る手は止まりません。
(参加者 佐藤正人さん)「想像していたとおりの風景を見ることができた。まさか今日、ここに来られるとは思わなかったんで」
(参加者 佐藤まゆみさん)「ただ今年はこれ以上の旅行には行かれないとは思っています。ワクチンは打っていようとまた感染しますしね。」
この日「千畳敷カール」を訪れた観光客は、今年最多のおよそ2900人―。
しかし、今回のツアーを企画した旅行会社は、宣言が解除されたとは言え、まだ厳しい状況は続くと不安をつのらせます。
(「四季の旅」旅行予約センター長)「私どもも期待はしているところですけども、思ったほど予約が伸びている感じはせず、正直、ご旅行を控えられた期間が余りにも長いので、旅行に行かないことに慣れてきてしまったところはあると思いますね」

▽“酒解禁”の飲食店 台風接近で客足は…
3日、東京の新規感染者は、161人。42日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。
宣言解除で、第三者認証を受けた店では、酒の提供が午後8時まで、営業は午後9時までできるようになりました。
2カ月半休業していた東京・鶯谷の焼き肉店。いよいよ営業再開の日を迎えましたが、注文が殺到したのか、酒の配達も大混乱。
届いたのは、開店のわずか30分前でした。
酒屋「きょうかなり忙しい。もうちょっと落ち着いていると思った、台風だから…」
客は戻ってきてくれるのか…この日、外は台風の影響で大荒れに…
(焼肉「ほるもんスタジアム」横川真悟代表)「(お客さん)来るかな…、台風でどうなるか…」
Q.いよいよスタートですね
「そうですね真面目に社会復帰します!」
午後5時。開店と同時に次々とお客さんが…。
(常連客)「久しぶりだな。『おめでとう』だよね、ここまで来るとね」
(常連客)「やるんだって駆け付けた感じです」
開店わずか1時間でほぼ満席。活気あふれる店内をみて…
「ありがたいですね、普通だったら来ないですよね。2カ月半も閉めてて…なんか久しぶりに仕事をしているのですごい動悸がします」
想定以上の客の入りに、スタッフ3人では、回らず…
「ごめんなさいこれガーリックレバーだったらしく…」
「うーんと生ホッピー?」
Q.作り方忘れちゃいました?
「はい…」
さらに翌日はたった2人で対応することに。
「店内はほぼ満員の状態ですが、スタッフ2人での対応となっています。」
以前は4人態勢でしたが、コロナ禍でスタッフが集まらないといいます。
店員「片付けて2番目の案内になります」
客「また来ます」
(焼肉「ほるもんスタジアム」横川真悟代表)「一番は人材ですね。圧倒的に足りないので、そこに対しての準備が出来ないと話にならない。(注文の)提供遅延、あとは席が空いているのに入店ができない…(お客様が)来てくれているのに対応できないのは本末転倒ですからね…」
スタッフを増やしたいものの、この賑わいは、いつまで続くのか…試行錯誤は続きます。

▽“時短無視”の店増加?解除で「罰則なし」
要請に従い時短営業する店がある一方で…
(佐々木一真アナウンサー)「午後9時を過ぎました。ただ、ご覧のように営業を続けているお店が多く見受けられます。緊急事態宣言が解除されて時短要請に従わないというお店が増えているようです。」
宣言が解除されたことで、飲食店は要請に従わなくても、命令や罰則の対象ではなくなりました。
(20代男性)「解除されたから開いてる店も多くなったなとは思いますけど」
Q.午後9時までになっていますが?
「あまりそういうの知っている人いないと思うんですよね、とりあえず宣言解除されたみたいな方にみんな頭がいってる」
中には堂々と感染対策のお墨付きを掲げる店も―。
「ステッカーが貼ってあるんですけども、午後9時以降もお酒を提供していますね」
要請に応じない認証店が増え、形骸化も心配される、第三者認証。
実は、この認証制度、各都道府県が別々に作っていて、中には、導入が遅れている自治体もあります。
(たまりBARハイド 田中秀将代表)「もうさすがにちょっと待てないということで、どうしても早く来てほしいという連絡をして」
北海道は、先月24日から受付を始めたばかり。認証を取得すると、営業時間を1時間延ばすことができ、この差が売り上げに直結すると言います。
(調査員)「感染防止対策認証の確認にまいりました。」
宣言解除となった、おととい、ギリギリで審査を受けられることに―。
(調査員)「距離のほうを測らせていただきます。」
「問題ございません。」
「1メートル離れておりますので、こちらも確認できました。」
北海道では、イスの間隔や換気の回数など28項目の基準をクリアする必要があります。
審査の結果は―
「すべて問題ないと当てはまりましたので、こちらが証明書代わりとなります」
「認証を受ければ(営業時間の延長が)すぐできますという話なんですけど」
「それでしたら問題ないと思われます。」
このバーは、宣言明けの営業に間に合いましたが、札幌市では、申請が出ている、およそ5000店のうち、1300店ほどの審査が終わっていません。
全国で、“認証制度”の開始時期や審査の基準などがバラバラの現状に―。
(たまりBARハイド 田中秀将代表)「不公平感はすごく感じました。第6波が起きる可能性というのは否めないかもしれませんけども、感染対策をしているお店がちゃんと認可されて増えていくことで、抑えられるところは抑えられるのではないかと思っています。」


10月3日『サンデーステーション』より

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