娯楽の街 浅草に「映画弁士塚」 62年前の映像[2021/10/17 18:00]

1959年8月18日、東京・台東区にある浅草寺の映像です。
無声映画時代の花形、活動弁士を記念した「映画弁士塚」の
除幕式が行われました。
参列者の前で挨拶に立ったのは、弁士としても一世を風靡した徳川夢声さんです。
一般の人もスターを見ようと、詰め掛けたようです。

「映画弁士塚」は、現在も、浅草寺境内に佇んでいます。
自身も弁士の経験があり、のちに新東宝株式会社の社長になった大蔵貢氏の呼びかけで建立され、ほかの映画会社5社も賛助しました。
この大蔵氏らの名前がある碑は、弁士席に見立てたデザインとなっています。
題字は鳩山一郎元総理が揮毫したものです。
法衣で式に出席しているのは、浅草寺の第24代貫首・清水谷恭順氏です。
式典には、女優の山東昭子さんが、参加したと記録に残っています。現在の参議院議長です。
山東さんは、浅草寺で徳川夢声さんが出たイベントに出席したことを覚えているということです。
笑顔の人たちが集まる映像の後ろの看板に、「お古し」「常盤堂」と読めます。
東京を代表する銘菓「雷おこし」の老舗です。
式を眺める大勢の人がいたのはこの辺りでしょうか。
現在は看板があるのみで、別のお店が入っていますが、2015年まで常盤堂の西参道店がありました。
あの日、挨拶に立った徳川夢声さんは弁士としてだけでなく、俳優や司会者としても一世を風靡した大スターでした。
その名前は、一番上に刻まれています。
無声映画の時代、スクリーンの傍らで映画の解説、台詞、情景の説明などを行う花形職業であった「活動弁士」。
トーキーの登場で活動の場を失っていきますが、娯楽の街として栄えた浅草に立つ「映画弁士塚」は、往年の弁士たちの名前やその活躍した時代を、後世へ伝えています。

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