予報士のつぶやき 東京の木枯らし1号の難しさ[2021/10/22 15:08]

この時期、予報士をやきもきさせる気象現象がある。「東京の」木枯らし1号だ。

木枯らし1号は、秋から冬に変わる時期に初めて吹く、北よりの強い風のこと。防災的な意味合いが強い春一番とは異なり、季節感を伝える情報として気象庁が発表している。春一番が西日本と東日本の広範囲で発表されるのに対し、木枯らし1号は『東京地方』と『近畿地方』、つまり1都2府4県限定の情報である。

このうち、東京の木枯らし1号にやきもきする理由は、その発表条件にある。

【木枯らし1号の発表条件(東京地方)】
1.期間は10月半ばから11月末までの間に限る。
2.気圧配置が西高東低の冬型となって、季節風が吹くこと。
3.東京都心における風向が西北西〜北である。
4.東京都心における最大風速が、おおむね風力5(風速8m)以上である。

やきもきポイントは3と4、「東京都心で基準の風向・風速に達しないと、木枯らし1号として認定されない」ことである。ちなみに近畿地方の木枯らし1号は、2府4県の最大風速が考慮されている。

実は、今年はすでに2度、東京地方で木枯らし1号の可能性があった。

1度目は、今月17日(日)。この日は、東京都内の羽田で12.7m(北北西)、八王子で8.1m(北)と、“木枯らしレベル”の最大風速を観測した。しかし、東京都心では5.6m(北西)と基準に届かなかった。

2度目は、20日(水)で、1度目よりも広い範囲で北寄りの風が強まった。さいたまでは10.1m(北北西)、千葉では9.7m(北西)、横浜では8.0m(北北西)の最大風速を観測している。しかし、東京都心では7.0m(北西)と、わずかに基準に届かず、木枯らし1号の発表には至らなかった。

そして、あす23日(土)は再び西高東低、冬型の気圧配置が予想されている。個人的には、1度目よりは強く、2度目と同じかやや強いくらいの風が吹くとみている。果たして3度目の正直なるか。

テレビ朝日気象デスク 藤枝知行

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