まるで海底洞窟!? 沖縄のビーチを覆う大量の軽石[2021/11/07 23:30]

沖縄に漂着した大量の軽石。最終的にはどう解決すればいいのか。実は、35年前にも今回と同じ小笠原諸島から軽石が流れ着いたことがありました。当時を知る専門家と、現地を取材しました。

▽沖縄のビーチ覆う「軽石」海に潜ると…
沖縄屈指のリゾート地、恩納村のタイガービーチ。
しかし…砂浜の一角が「軽石」に覆われています。

Q.これは全部 軽石なんですか?
(ホテルモントレ沖縄 営業課 新田桃子係長)
「そうですね、大きいものから小さいものまでですけど、こういったものが漂着しております。こちらから通常のボートですとかジェットスキーの運航があるんですが、ほとんど9割近くキャンセルになりました」
「(緊急事態宣言が終わった)このタイミングで軽石の漂着ってことが起きましたので…厳しい状況ですね。3月末までで、2000名様程の修学旅行生をお迎えする予定ですので」

一体 海の中はどうなっているのでしょうか?
(水中カメラマン 広部俊明さん)「ここから海になっています。」
大量の軽石が覆う海に潜ってみました。
(水中カメラマン 広部俊明さん)「真っ暗!中は真っ暗」
軽石を払うと一瞬光が差し込みますが、また、すぐ暗闇に…

大量の軽石がびっしりと海面を覆っているのが分かります。
海面を探しているのでしょうか、軽石のすぐ下には魚の群れも…珊瑚の裏側には引っかかったとみられる大量の軽石が…
(水中カメラマン 広部俊明さん)「光合成をしているんですよ」
海藻類にも、細かく砕けた軽石が降り積もっていました。

Q.(軽石の堆積する)厚い所でどのくらい?
「これくらいかな」
Q.30cmくらい?
「そうね」
「あの辺にアマモの藻がある。アマモってジュゴンが食べる。そこに生えているがアマモは光合成をしないとダメなのでこのままの状態がずっと続いたら枯れちゃいますね」

▽豪沖でも漂流…海面埋め尽くす「軽石」
一方、軽石被害は海外でも…
これは2年前オーストラリア沖で撮影された映像です。
見渡す限りの海面を覆っているのはすべて軽石。トンガ沖の噴火で発生したものだといいます。
軽石はフィジーでも…
シーカヤックに乗る女性
「夜の間に大量の軽石がビーチに漂着しました。かなり厚いのでパドルを海に入れられません」
数日間にわたり島の周りを覆いつくしました。

トンガ沖の海底で軽石を採取するなどの調査を行ったオーストラリアの研究者は、海洋生物にも悪影響を与えたといいます。
(クイーンズランド工科大学 スコット・ブライアン教授)
「長期的にはサンゴ礁に影響はありませんでしたが、魚やカメが死ぬなどの被害があり、漁業や地元の人の生活にも影響がありました」

一方、軽石がもたらしたのは悪い影響だけではありません。
砂浜に漂着した軽石には、カニやフジツボなどの多様な生き物が…
(クイーンズランド工科大学 スコット・ブライアン教授)
「数十億の軽石のひとつひとつが生物を運んでいます。グレートバリアリーフでは5年に1度軽石が運ばれるおかげで、生態系が豊かなものになっているのです」
Q.沖縄でもプラスの効果は生まれる?
「沖縄でサンゴが長期間軽石に覆われないことを祈ります。サンゴが数週間覆われ日光が届かない状態が続くのは有害です」

沖縄の大量の軽石は、今後どうなるのでしょうか?
(琉球大学 加藤祐三名誉教授)
「今回のはもう桁外れですね。問題にならないくらいめちゃくちゃな量です。こういうのはね、100年にいっぺんですよ」

実は、海底火山「福徳岡ノ場」は35年前にも噴火していて、軽石が沖縄に漂着しています。
(琉球大学 加藤祐三名誉教授)「これです。これが35年前に採取した軽石です」
当時、調査を行った琉球大学の加藤名誉教授によれば、軽石は砂浜にわずかに打ち上げられた程度で数カ月で姿を消したといいます。
(琉球大学 加藤祐三名誉教授)
「小さくなって浮く力がなくなって沈んでしまう。それが1、2mmですね。もうひとつは潮と風と両方で(沖合に)持っていかれるんですね」

空気を多く含む軽石は崩れやすく、粉々になった破片は水中に沈みます。
しかし今回は量が桁違いに多いため数カ月で消えることはないとみています。
(琉球大学 加藤祐三名誉教授 )
「(数カ月とは)いきませんよ、年の単位ですよ。こんなに量が多いんですから」


11月7日『サンデーステーション』より

こちらも読まれています