戻らぬインバウンド…人気観光地が打つ“次の一手”[2021/11/07 23:30]

国内の感染状況が落ち着く中、8日からビジネス目的の外国人などを対象に入国時の制限が緩和されます。一方で、観光客の入国は一時停止のままです。戻らないインバウンドに、観光地は次の一手を模索しています。

▽ 紅葉の日光“戻らぬインバウンド”
鮮やかに色づいた紅葉に誘われ、この週末は、観光地らしい賑わいとなりました。
(佐々木一真アナウンサー)
「紅葉が見ごろを迎えています、日光東照宮です。たくさんの方が参拝に訪れていますね。活気が戻ってきています。」
(県内からの観光客)「コロナですね。今ちょっと落ち着いてきたので、いい時期かなと思って来させてもらいました」周辺の店からは喜びの声がー。
(ゆば料理「油源」落合良美店主)「紅葉もいいですから、とてもお客様が出てます。うれしいです。」

ただ、紅葉シーズンが終わった後、どうなるのか不安もあります。日光は、古くから外国人にも人気の観光地でしたが、コロナ禍で、“インバウンド”は途絶えたままです。
(ゆば料理「油源」落合良美店主)「やっぱり外国人が、多くの方が来てほしいです。昔の日光にまた戻ってくれたらいいかなと。」
8日から水際対策が緩和され、ビジネス目的の新規入国は条件付きで認められますが、観光客の入国再開は見送られました。

▽国内客獲得へ 日光の人気宿“次の一手”
外国人観光客をターゲットにしてきたホテルでは、厳しさが続きます。
スペイン語や英語、中国語などが堪能なスタッフをそろえ、2017年にオープンした「旅籠なごみ」。
(「旅籠なごみ」 神尾和彦代表)「外国人のお客様向けでございまして、中国語英語と明記しております。」
大浴場には「湯船につかる前に体を洗う」など温泉の入り方を外国語で説明する看板も設置しました。こうした外国人向けのサービスが好評を呼び、コロナ前には宿泊客の9割を外国人が占めることもありました。しかし…
(「旅籠なごみ」 神尾和彦代表)「トップシーズンにもかかわらずたった3組でございます」
メインターゲットの外国人観光客が消え、予約が1組も入らない日も珍しくはありません…
(「旅籠なごみ」 神尾和彦代表)「水道光熱費だけで100万もかかってくるんですね温泉代含めて。とてもとてもやっていけるものではございません」
インバウンドの再開が見通せない中、国内客の取り込みでなんとか活路を見出そうと、宿では夏から新たな宿泊プランも始めました。
奥日光の中禅寺湖をモーターボートで自由に回り、日光の魅力を“再発見”してもらおうという試みです。
(「旅籠なごみ」 神尾和彦代表)「普段でしたらあまり入っていけない中禅寺湖の奥のほうまで、モーターボートだと入っていけます。今まで体験できなかったようなことなので、お客様から好評です。日光の良さをもっと再発見していただく、マイクロツーリズム(近距離旅行)をもっと進化させなければいけないなと思っています。」

▽コロナからの復活・神戸ナイトクルーズ
国内客獲得のため、ターゲットを180度転換した会社もあります。
(田中義行 記者)「大きな橋が見えてきました。明石海峡大橋です。」
世界最長の吊り橋を間近で体感しながら、きれいな夜景を満喫できるのは、国内最大級のレストランクルーズ「ルミナス神戸2」です。
(乗客)「船ならではの普段見えない景色が見られるっていうのは、船の特権かなと」
実はこのクルーズ船、去年、コロナの影響で運営会社が倒産。その後、ライバルだった船会社に引き継がれ、1年8か月ぶりに運航再開となったのです。
かつての「ルミナス神戸」と言えば…
(京都からの乗客)「何か高そうだなとは思ってました」
これまでの高級路線から、カジュアル路線に転換し、ファミリー層をターゲットに。神戸で人気の洋食など50種類以上のご当地グルメ。以前は、1人4万円近くするコースもありましたが、今は、7700円のバイキングが中心です。
(大阪からの乗客)「1万円超えるかなと思ったけど超えないで子供と来やすいかなっていう価格帯かなと思う」

新設されたクラブスペースは、企業や団体の貸し切り需要を見込んでいます。
(神戸クルーザー広報担当 西下舞さん)「ゆくゆくはインバウンドの皆様が戻ってきた時にご乗船頂き、観光を活性化できればと思っております」


11月7日『サンデーステーション』より

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