“昭和感”は新しい?平成世代に刺さる#昭和レトロ[2021/11/15 17:00]

カラフルであざやかなクリームソーダに、サクランボと生クリーム、苦めのソースがかかったちょっと硬めな、その名も昭和プリン。提供しているのは東京・中野区にある喫茶店です。ここで40年ほど営業していた喫茶店が閉店した後、“昭和感”のある古い内装などを生かし去年オープンしました。

来店客(21)「今日はプリン食べに来ました」
来店客(20)「インスタでよく見かけていたので、メロンソーダ可愛いなと思って映えを求めて」

多くの客が撮影する、流行りのクリームソーダや店内のレトロな雰囲気。SNSに投稿された写真を見て、これまでなじみのなかった若い世代も来店する“好循環”が生まれているといいます。

来店客(25)「初めて来たんだけど雰囲気よくて、すごく目新しいですね。平成生まれにとっては全然触れてきていない空気感、ほぼ異世界みたいな感じ」

昭和世代には“懐かしく”、平成世代には“新しく”感じられる昭和レトロ。こうした喫茶店の写真以外にも、今年リニューアルし、昭和の街並みが誕生したゆうえんちなど、様々なものが『#昭和レトロ』としてインスタグラムに投稿されていて、その数は125万件(11月7日時点)にものぼります。そんな昭和レトロのブームを追い風に、いま売り上げを伸ばし続けているものがあります。

それが、こちら。“懐かしさ”や“ダサかわいさ”を感じさせるデザインのグラス。昭和の時代に使われていた柄を復刻した、アデリアレトロと呼ばれるシリーズです。

石塚硝子広報 川島健太郎さん
「若手の女性社員が、インスタグラムで昭和当時のアデリア製品が取り上げられているのを見つけたのがきっかけだったんですけども」「若い世代の社員たちは最初から自信を持っていて絶対売れますからと」

購入客の中心は20代から40代の女性。一般的には数万個でヒットとなる中、3年弱で60万個を売り上げていて、これは驚異的な数字だといいます。

このアデリアレトロのグラスを使って、今年から若い女性客を中心にドリンクの提供を始めた店もあります。東京・墨田区の珈琲専門店。たまたまテレビで見かけたグラスに魅せられて、集め始めたという小芝さん。

珈琲専門店デルコッファー 小芝麻紀子さん
「一瞬見ただけなんですけど、これはかわいいと思った」「こちらのグラスを取り扱うようになってから女性のお客さんが増えた印象はある」

実はこのレトロなグラス誕生の裏にも、世代間に“感じ方の違い”があったといいます。話してくれたのは復刻を企画・提案した
3人のうちのひとり、桐本さん。

復刻を提案した桐本夏希さん(28)
「「ダサい」って言われたのは覚えていますね。「こんなダサいグラスが…」っていうふうな言い方をされたのがすごく印象的でした。そんなダサいかな?と思ったんですけど」

製品化するために避けては通れない企画会議で、年配の男性上司たちからは相手にされなかったのです。

復刻を提案した桐本夏希さん(28)
「私たちの世代は(昭和の商品を)見たことなかったのでそもそも、結構新鮮な印象で見ていましたね」

桐本さんたちは売れることを証明するため、アンティークマーケットでの市場調査やSNSの分析など様々なことを行いましたがー。

復刻を提案した桐本夏希さん(28)
「2回目3回目の会議に証拠と一緒に持っていくんですけど、本当に売れるのかな?というか売れないだろうという反応でしたね」

平成世代の女性社員たちとの、“噛み合わない”当時の状況について広報の川島さんは。

石塚硝子広報 川島健太郎さん
「(上司たちは)実際に昭和を体感している世代なので懐かしいという感情はあるんですけど、世代間での受け取り方の違いが大きかったと思います」

今では発表した商品があっという間に完売するほどの人気となったアデリアレトロ。SNSによって若い世代にも認知され、購入につながっていると実感しているそうです。

石塚硝子広報 川島健太郎さん
「SNSの力すごく大きいと思っていますし、今後も若い世代の発信してくることを受け止めてヒット作につなげていければと」

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