飲食業を離れた人今何してる?コロナで変わる仕事観[2021/11/28 22:30]

今、飲食業界では、お客さんは戻ってきた中、お店側の人手不足が深刻化しています。なぜ飲食業を離れた多くの人が戻らないのか。現在はどんな仕事をしているのか。その背景を深掘りしました。

▽カニ漁解禁で盛況も…“人手不足”深刻
28日、加賀100万石の城下町、金沢の近江町市場は、コロナ前の賑わいに戻っていました。
「さーいらっしゃい!カニ!カニですよーカニが安いです!」
観光客のお目当ては、今月初めに漁が解禁されたカニ。市場が最も賑わう時期です。

「美味しいね。おいしい!」
(関東からの観光客)「(カニ)もう最高でしたね。美味しかったです。」
「気合い入れて着物着て。ワクワクです。」
飲食店にも、あちこちで行列が…。
(山本将司ディレクター 実況)「今、午前10時半、開店時間の前なんですけど、すでに行列ができてますね。」
創業90年の「近江町食堂」には、開店と同時に次々と客が…。
新鮮な海の幸を求めて、あっという間に満席になりました。
(長野からの観光客)「あこがれの金沢に来て食べられて。嬉しいです」
しかし、頭痛の種は、スタッフ不足です。
(近江町食堂 太田薫料理長)「オーダー取ったけど(料理が)出せないとか、料理が出ても並行で洗い物とか一切手を付けられない」
この日は、フロアに4人のスタッフ。コロナ前の半分の人数で、満席の店内を回さなければなりません。
(アルバイトスタッフ)「居酒屋ということもあってお酒も出るんで時間も結構かかって…」
厨房もてんてこ舞いです。そこに現れたのは…
Q.アルバイトの助っ人の方?
「代表です。」
Q.お皿洗いに?
「そうです」
店のオーナーも皿洗いに参加。
(近江町食堂 小室憲治代表)「どのお店も大変だと思うので…」
さらに…
「俺、半になったら帰るんで、すみません、上がります。」
(近江町食堂 太田薫料理長)「忙しくなりました。でもスタッフの人数も揃わない。もっと早く料理も提供できてお客さんを早く入れてあげたいというのはありますけどね」
Q.アルバイトの応募は来ますか?
「来ません。」
帝国データバンクによると、アルバイトが不足しているのは、飲食店の6割以上、居酒屋ではおよそ9割に上ります。

▽「いつ潰れるか…」夢諦め転職活動
「いつ(会社が)潰れるか分からないというのはあるので、飲食業というのは不安が大きすぎるっていうのはあります」
都内に住む笠原さん(27)
先月、飲食チェーンを展開する会社を退職しました。
「昨年の3月、4月あたりにほとんどの従業員がクビを切られるような形になって」
これまで飲食業一筋で働いてきた笠原さんですが現在は別の業種への就職を考えています。
「僕はお店を出したいというのがあるので、そのやりたい事を諦めて自分の生活を第一に転職するので…」
就活サイトで仕事を探す日々…
しかし…
「高卒なんで、自分の希望条件の(会社件数は)減っていくんですよね…」
会社を辞めて約1カ月、金銭的に厳しい状況に…。そんな中、一時的なバイト先として頼ったのは…
18歳の時、初めてアルバイトをして飲食業の楽しさを知った焼肉店でした。
「辞める時に飲食業は…って思ったんですけど、やっぱり食いつながないといけないので、本当に助かりましたね」
人手不足の店としては「渡りに船」。しかし、笠原さんの気持ちを知る店長は複雑です。
(焼肉「ほるもんスタジアム」代表 横川真悟さん)「(飲食業は)将来が描きづらい状態ではあるので…彼は根が真面目なので心が疲れてしまうとかそういうことに気を付ければ何の仕事をやっても大丈夫だと思う」
(笠原輝さん)「本当に自分の経験した事のない業種だったり仕事を、これを機にできるというプラスに捉えるようにしないとやっていけないです…」

▽飲食業から離れた人はどこへ?
飲食業から離れた人は、どんな仕事に移ったのでしょうか?街で聞いてみると…
(大学生)「ドラッグストアのほうに行きました。休業をしている中で、稼ぎが無くて、ドラッグストアは“6波”が来たとしても、お客さんの数もそんなに減らないですし、安定感があるかなと思います。」
(大学生)「アパレル、正直アパレルのほうが、コロナ禍では働きやすい環境だなとは思いますね。飲食店は(客が)マスクとか外しているので、アパレルはほとんどの人がマスクしているので、その点では感染リスクが少ないかなと感じますね。」

飲食店の経営者だった篠崎さんも「転職」を選んだ一人です。
(篠崎恵一さん)「一番これまでに作ってきた料理だと思います」
“もつ鍋料理”の店を経営していましたが、去年4月、緊急事態宣言で客足は激減。翌月には店をたたむことになりました。
(篠崎恵一さん)「このまま飲食を続けていくっていうのも、自分の中では不安は大きくて。であれば思い切って新しいことにチャレンジしてみたい」
選んだ仕事は、システムエンジニアでした。
篠崎さんが暮らすのは、エンジニアだけのシェアハウス。この日は週に一度のIT勉強会でした。
(シェアハウスのオーナー)「実際サーバーいじったりする時は、どっちのほうがいいんだろうとかあったりする」
(篠崎恵一さん)「経験者の方にすぐに聞ける環境にいれるのはありがたい」
IT業界であればコロナの影響を受けにくいと考えています。
(篠崎恵一さん)「今、成長産業だと思いますし、働き方に柔軟性があるので、自宅でできたりとか」
今は、エンジニアとして、飲食店を支えたいといいます。
(篠崎恵一さん)「お客さんを喜ばせることがやっぱり好きだったので、ITを使って私自身で(飲食業向けの)サービスを作って、今度は飲食店の方々を喜ばせてあげたいっていうのが、今はすごく思いは強いです」

▽飲食店“人手不足”をアプリで解消
人手不足の中、こんな動きも―。
(佐々木一真アナウンサー)「都内にあります、こちらの蕎麦店はどうしても手間と時間が掛かってしまう“仕込み”を外注することによって、人手不足解消に繋げているといいます」
「お蕎麦に使うものでネギ」
ネギに油揚げに鶏南蛮。袋詰めされているのは、蕎麦の具材ですが、この店では作っていません。
(そばだ家 渋谷店 三田美智子さん)「こちらにもう頼みたいものが全て登録されているので、数だけ押していく感じですね、必要な分だけ。」
“シコメル”という、こちらのアプリ。店側が仕込みたいものを、仕込みたい数だけ発注すると―。
遠く離れた、大阪の工場で―。
「そばだ屋さんというおそば屋さん2店舗分の仕込の工程になります。」
食材の調達から、カットや味付けまで、飲食店のレシピ通りに仕込んでくれるのです。アプリの運営会社は、飲食店が働きやすい環境になるよう、このサービスを始めたと言います。
(シコメルフードテック 西原直良代表)「飲食業界は人不足が問題となっておりまして、仕込みを外注化することでお店の負荷が下がります。業界に対して貢献できるんじゃないかと思って、この会社を作りました。」
“シコメル”を導入した飲食店は、この1年で、20倍以上に急増したそうです。
(佐々木一真アナウンサー)「仕込みを外注化するによって、どんな利点を感じていますか?」
(そばだ家 渋谷店 三田美智子さん)「普段だったら、4人必要なところ2人で仕込みが回せたりとか、人手不足に悩んでいる人がいたらすごい便利なアプリなのかなと思う」


11月28日『サンデーステーション』より

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