予報士のつぶやき 台風発生 北には“冬台風”も[2021/11/30 13:29]

きょう30日午前9時、日本の南海上で台風21号が発生した。

「師走を目前にして台風?」と驚かれる方がいるかもしれないが、この時期に台風が発生することは珍しくない。過去最も遅い発生は12月30日(2000年)であるし、過去最も早い発生は1月1日(2019年)だ。

ただ、台風が本州に近づくとなると話は別である。台風は太平洋高気圧のふちを回る風にのって北上することが多いが、この時期になると太平洋高気圧が南に後退する。ふちを回る風が本州まで届かなくなるため、台風は北上しづらくなるのだ。

ところが、ちょうど31年前のきょう、1990年11月30日。気象の歴史に残るような珍現象が起こった。なんと、この年の台風28号が和歌山県白浜町の南に上陸したのだ。1951年の統計開始以来、11月に上陸したのはこの台風だけ。統計史上最も遅い上陸である。

当時の新聞記事を振り返ると、“季節外れの台風”、“おくて台風”、“遅刻台風”、“とうとう本州に上陸してしまった”などの言葉が並んでいた。11月の台風上陸は、やはり「まさか」の出来事だったようである。

幸いにも、きょう発生した台風21号は本州に近づくことはなさそうだ。ただ、日本海を進む低気圧には警戒しなければならない。今後急速に発達し、まるで“冬台風”として北日本に接近してくる。北日本を中心に台風並みの暴風が吹き荒れ、猛吹雪になる恐れもある。

先週からいきなりやってきた冬。序盤から万全の防災対策をお願いしたい。

テレビ朝日気象デスク 藤枝知行

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