「クズだった」夜遊び娘が職人に 老舗だるま店で“頑固オヤジ”とバチバチ[2021/12/22 20:10]

 伝統工芸品がもっと可愛くなるかもしれません。夜遊び大好き元「イケイケ」女子が明るく元気に職人の世界に殴り込みです。

 だるまの生産量日本一の群馬県高崎。ここに異色の経歴を持つ職人さんがいます。中田千尋さん(32)。実は彼女…。

 大門屋5代目・中田千尋さん:「大学時代はビックリするくらいクズだった」

 大学時代は夜遊びに明け暮れた千尋さん。それが今や約100年の歴史を誇る「だるま店」の5代目です。

 お客さんの店の商売繁盛を願って筆入れ。

 千尋さんの父親で4代目の中田純一さん(69)は、わずか2人しかいない「高崎だるま」の伝統工芸士です。

 大門屋4代目・中田純一さん:「高崎だるまの要件は鶴と亀」

 「高崎だるま」の特徴は眉に「鶴」、髭(ひげ)に「亀」が描かれていること。“ひげ描き”は伝統工芸士である純一さんだけが行っています。

 親子のコミュニケーションは従業員をなかに挟んで行っているとか。

 従業員歴6年・葛西三千代さん(45):「2人で相談事していてもけんかになる」

 千尋さんの人生は、まさに「七転び八起き」でした。

 厳しい父親から解放され大学時代は遊びほうけた千尋さんでしたが、卒業論文のテーマに選んだのは「だるま」。父親のもとで修行することを決意しましたが…。

 大門屋5代目・中田千尋さん:「本当に嫌になって半年くらい消えています」

 父親の厳しさに耐えかねて一度、逃亡したといいます。

 大門屋5代目・中田千尋さん:「今思えば、戻ってきた娘に対して優しくしていたら(従業員)皆の目があまりよくないと思うからこそ、人より厳しくしたのかな」

 大門屋4代目・中田純一さん:「気にしているなら良かったですね」

 この日、思わぬお客さんが来店。小学生の時にお世話になった先生です。来年用の“干支(えと)だるま”を購入してくれました。

 千尋さんは今、伝統にとらわれない試みに挑戦しています。

 大門屋5代目・中田千尋さん:「うちのデザインしたアマビエ」

 父親に内緒で作った“アマビエだるま”は、なんと約3万個を売り上げるヒット商品に。

 圓福寺・大谷隆舜住職:「元気なパワーがあふれている。逆にもらっています」

 若い感性を生かした、だるまを次々と生み出している千尋さん

 大門屋5代目・中田千尋さん:「新しいものを作っても、ちゃんと軸がぶれていなければ伝統のところに帰ってこられる」

 父親の技術力を信じているからこそ、新しいことに挑戦できるといいます。

 大門屋4代目・中田純一さん:「(新しいこと)どんどんやった方がいいよ。ただアマビエとかは(高崎)だるまではありませんから」

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