1960年 清宮貴子さま 島津久永さんとご結婚 花嫁修業やデートも[2021/12/25 18:00]

レコード鑑賞を楽しんでいるのは、昭和天皇と香淳皇后の第5皇女で、末っ子として両陛下の愛情を一身に集めた清宮貴子さまです。
この映像は1959年、学習院大学に在学中の20歳の清宮さまです。

1年前から、料理、生花、洋裁など花嫁修業をしていたと当時の新聞で伝えられています。
2年ほど前から結婚相手を選考していた宮内庁でしたが、「秀才型の好青年」として目をかけられていた島津久永氏にまとまりました。
清宮さまより7つ年上の久永さんは、香淳皇后の従弟に当たります。
また、皇太子さまの学習院初等科からの同級生でもあります。

1959年3月11日ついに宇佐美宮内庁長官が婚約内定を発表します。

宇佐美宮内庁長官:
「貴子内親王殿下は本日、故島津久範氏次男、島津久永氏とご婚約がご内定になりました。
 昨年の秋ごろからいろいろ具体的になってまいりまして、昨年の暮れごろ島津家に申し上げたんですが、その後、清宮さまと久永氏が数回お会いになりまして、お二人の完全な御意思の一致があり、お母さまのお考えも決まり、もちろん両陛下はじめ皆さまのお許しを得て、本日、発表にいたったわけであります。」


島津久永さんは、東京家庭裁判所調停委員を務める母の久子さんと会見をしました。
勤務先の日本輸出入銀行へは大学卒業と同時に入りました。
友人は「島津は我々の仲間の中では最も地味でコツコツやる男だ」と久永さんの人柄について話しました。


宮内庁橋本総務課長:
「貴子内親王殿下と島津久永氏との納采の儀は、来たる5月15日行われることに決まりました。」

この発表の予定通り5月15日午前10時、皇居内仮宮殿で清宮さまと久永さんの「納采の儀」が執り行われました。
島津家の使い、久永さんの叔父に当たる高倉氏は身を正して宮内庁を訪問。
納采の品を両陛下に贈ります。

両陛下がお受けになったことを宇佐美長官が伝え、お使いとして徳川侍従が世田谷区の島津家を訪れます。
そして、紅白の絹地、清酒、タイなどが贈られました。
これでお二人の婚約は正式に成立となります。


翌年2月14日、お二人は葉山の御用邸でデートを楽しまれました。
久永さんはグレーの背広、清宮さまのスーツはダークグリーン、セーターは黄色です。
天皇皇后両陛下と一緒に昼食をとった後、御用邸裏の海岸にお二人で出られました。


3月5日、大きな荷物が住宅に運び込まれています。
結婚式を5日後に控えたこの日、清宮さまは久永さんと、久永さんの母・久子さんに伴われ、世田谷区上野毛の新居を訪れました。
敷地500平方メートル、建坪150平方メートル、モダンな洋風の平屋です。

新居の中をどうしても見たい様子。
バイクのサドルの上に立つ人も…

3月10日、いよいよお二人の結婚式が執り行われます。
報道陣が島津邸の周りに詰めかけます。
大勢の報道陣から久永さんと母、久子さんがカメラを向けられる中、結婚式場である東京・高輪の光輪閣へと向かいます。

清宮さまは皇居内で式への着付けをすませました。
髪型は大垂髪にされ、紅梅色の切り袴を身にまといます。

皇居内廷西口玄関から車で式場に向かいます。
宮内庁職員、皇宮警察本部員、学友ら、およそ1500人のお見送りを受けます。
その姿を見ようと、およそ3万5000人の人たちが沿道に集まります。

車から降りた清宮さまは、2階の控室に入られます。
皇太子さま、天皇皇后両陛下も到着されました。

結婚式が終わると、天皇皇后両陛下と新郎新婦の島津夫妻が、大勢のカメラマンをを前に記念撮影です。
久永さんは少し緊張の面持ちでしょうか。

カクテルドレスに着替え、会見です。

Q.島津さん、ご夫人をどうお呼びになりますか?
島津さん:「えー。さしあたって、貴子ということにしておきましょうか。さしあたってですよ。」
Q.ご主人をなんとお呼びに?
貴子さん:「私ですか?どうしましょう(笑)」
島津さん:「言わなくてもわかるでしょう」
Q.家庭の切り盛りはですね奥さんのほうがされますか?それともお母さんの方がされますか?
貴子さん:「初めはやっぱりお母さまにお願いしていただく」
島津さん:「いきなり切り替えるというのは無理かもしれませんからね。僕はわりに、漸進主義者。なんですよ。ですから、だんだんに慣れていただこうと思って。」


その頃、世田谷区役所玉川支所では、宮内庁職員が島津夫妻の婚姻届けを提出していました。
佐野世田谷区長が届けを受け付けます。


会見を終えた島津夫妻は、午後3時半、霞が関の海運クラブで開かれる島津家主催の「結婚披露宴」に臨みます。
皇太子さまはじめ各皇族の他、古沢日本輸出入銀行総裁、久永さんの同僚や友人、貴子さんの学友ら、130人余りの出席者の中、お二人はウエディングケーキにナイフを入れ、にぎやかなパーティーが開かれました。
祝福のまなざしに見守られ、学習院の安倍院長が音頭を取り、乾杯です。


午後6時ごろ、お二人は世田谷区の新居に落ち着きました。
久永さんの結婚休暇が明けるとともに、貴子さんは名実ともに銀行員の妻として新生活に入ります。

こちらも読まれています