母国憂うミャンマー人実習生 帰国か否か狭間で葛藤[2021/12/31 18:47]

 ミャンマーではクーデターで実権を握った軍による弾圧が続いています。日本で働く技能実習生は母国に帰るか、残るか、決断を迫られています。遠く離れた家族を思う女性を取材しました。

 軍事クーデターからまもなく1年。ミャンマーでは多くの市民が弾圧され、1300人以上が亡くなっています。

 「母国に帰りたい」。葛藤を抱えながら、日本で必死に働く1人のミャンマー人女性と出会いました。

 技能実習生のセイさん(27)。ミャンマーから日本にやって来て3年。デイサービスセンターで介護スタッフとして働いています。

 セイさんと同じ時期にミャンマーから来日した“介護”技能実習生は25人で、全員が20代の女性です。

 介護人材が不足する日本。厚生労働省の試算では、新たな人材確保が進まない場合、2023年度には約22万人、2040年度には約69万人の介護人材が不足するといわれています。

 必要不可欠なのが、セイさんら外国人の人材です。

 パルシステム東京では、ミャンマー人技能実習生も日本人スタッフと変わらない月額22万円の給料や年2回のボーナスが支給されます。

 物価の高い日本で母国の家族に少しでも仕送りをするため、会社の寮で4人でルームシェアをしながら外食を控えて毎日、自炊をしています。
 
 利用者からの信頼も厚いセイさんですが、技能実習生としての3年の任期を延長せず、来年2月にミャンマーへ帰国し、家族と生活することを決めていました。

 しかし、今年2月1日の軍事クーデターがすべてを変えました。

 家族は弾圧が激しいヤンゴンを離れ、今も田舎に避難しています。

 技能実習生・セイさん:「心配しました。今は生活はどうですか、大丈夫ですか、お元気ですか」

 危険をおかしても帰るか、日本にとどまるか、悩み続けてセイさんが出した答えは…。

 技能実習生・セイさん:「今はミャンマーの政治(状況)はあまりよくない。帰国しても意味はない」

 セイさんは日本に残り、遠くから家族を支える道を選びました。

 技能実習生・セイさん:「私の両親とお兄さん2人のためにお金を仕送りします」

 選択を迫られた25人のミャンマーからの介護技能実習生のうち、1人を除いた全員が日本に残る意思を固めました。

 会社も彼女たちの意思を尊重し、来年以降も働けるように、将来的には長期の在留が可能になる「特定技能」などに資格を変更する手続きを進めています。

 技能実習生・セイさん:「(Q.仕事はどうですか?)すっごく楽しい。一番楽しい。私はおじいさんとおばあさんが大好き」

 遠い異国にやって来たミャンマーの若者たちは今、揺れる母国と家族を重いながら必死に働いています。

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