保健所「濃厚接触者の調査縮小を」PCR検査も発熱外来も“パンク”[2022/01/24 23:30]

新型コロナのまん延防止等重点措置の適用地域が全部で34都道府県に拡大されることになりました。

岸田総理:「未知なるウイルスとの闘いですが、まん延防止等重点措置を講じてから、一部の自治体では感染拡大のスピードが明らかに落ちてきている。軽症者が多いオミクロンですが、感染者数と濃厚接触者数が増加すると、社会経済活動の維持が難しくなります。ご不便をお掛け致しますが、リスクの高い場面での『人数制限』、地域の事情に応じた『人流抑制』に国民の皆さまのご理解とご協力をお願いします」

新たに対象となるのは、北海道や大阪、福岡など18の道府県です。政府は、最初に適用された沖縄、山口、広島についても、来月20日まで延長する方針を固めました。

病床使用率50%を超えた大阪。通天閣は非常事態を示す赤に染まりました。

大阪府・吉村知事:「オミクロン株の急拡大による非常事態の宣言を致します。24日、本日『赤信号』を点灯させます。あまりにも感染が広がっているというなかで、コロナの病床がひっ迫する恐れがあるというのが1つ目の理由です」

全国的な感染拡大で、発熱外来のスタッフは息つく暇もなく症状を訴える人たちの対応にあたっています。

埼玉・春日部市にあるクリニックの駐車場に設置された発熱外来には朝から列ができていました。24日に検査を受けた人115人のうち、35人が陽性と判明。陽性率は30%を超えています。

あゆみクリニック・藤川万規子院長:「若者が多いですね。普通に学校に行っただけなのにって、どこでうつったか分からない。学校とか保育園などに、分からない感染者がいるんだと思う」

第5波と一つ違うのは、重症化リスクのある軽症患者に飲み薬が使えるようになったことです。先月、特例承認されたモルヌピラビルは、入院や死亡のリスクを30%下げる効果があるとされています。

あゆみクリニック・藤川万規子院長:「若い人の広がり方を見ていると、止まる勢いがないので、このままだと来週、再来週がとても怖いですし、母数が大きくなると重症者も出てくるわけですから、ワクチン打ってない人はひどい症状出てる人がいるので、こういう人を放っておいたら、このまま肺炎になっちゃうかなとか」

24日から設置された東京都の無料検査場には早速、大勢の人がやってきています。

母親(40代):「幼稚園で今、すごい感染者が出ているので来ました。特に発熱や風邪症状はない」

帰省のために検査(60代):「色んな薬局にも問い合わせして、簡易検査キットが電話しても売り切れで、探した結果ここだった」

ここで採取された検体は自動検査システムにかけられます。16時間で2500検体というスピード検査ができるといいます。

杉並保健所・土田麻紀子副参事:「どうしても陽性者は出てくるが、他の人に感染を広げない行動を心掛けてもらうのにも役立つ」

保健所ももう手一杯です。札幌市の保健所には市の職員らが応援に入り、24日からは通常の3倍となる900人態勢で業務にあたります。区役所の職員も感染者の健康観察などをせざるを得ない状況です。

札幌市白石区・石原荘史総務企画課長:「現状、まだ窓口を閉めるとか業務の縮小はしていないが、ここに人を割かれているので、市民にこれまで以上にお待たせするシチュエーションは発生すると思う。可能な限り郵送で済むような手続きは郵送でするなど、ご協力を頂きたい」

このひっ迫した状況を、どう打開すればいいのか。保健所からは濃厚接触者の調査について、高齢者施設などを除いては、縮小すべきとの声が上がっています。

東京都北区保健所・前田秀雄所長:「オミクロン株は潜伏期間が2〜3日の間ぐらい。保健所が調査して『検査を受けて』と言った時点で発病しているということが少なくない。(濃厚接触者の特定は)感染拡大防止に役立たないことだと思う。感染を広げないことが第一なので、濃厚接触者の特定をして法的に(外出)自粛要請は行わないが、ご自身の自覚を持って在宅で静養することをお願いしたい」

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