「作りやすく食べやすい」介護食“未来の食”変える『3Dプリンター』[2022/01/27 23:30]

『未来をここからプロジェクト』。26日に引き続き、持続可能な社会を目指すSDGs企画をお伝えしていきます。

東京ビッグサイトで26日、3Dプリンターの展示会が行われました。国内外含め60を超える企業や団体が集結し、最新技術をお披露目。3Dプリンターを使って、航空宇宙用の部品を作る企業もあれば、1円玉よりはるかに小さい、超精密なものまであります。世界市場に目を向けると、その規模は年々拡大し、2030年までに6兆円に迫るとみられています。

そして、今、注目されているのが“食”の分野。SDGs達成の切り札として、期待が高まっています。

イスラエルの企業が作ったのはステーキ。筋肉や脂肪を、植物性のタンパク質と脂肪で再現。血は天然の着色料と香料を使うことで、本物のステーキに近い味わいを実現しました。牛のゲップには、メタンが含まれ、世界の温室効果ガスの4%を占めるため、地球温暖化防止に役立つのではと注目されています。

また、オーストリアでは、乱獲が問題となっているサーモンを作りました。現在、あらゆる食品を3Dプリンターで作り、環境問題の改善を目指す取り組みが始まっています。

その流れは、日本でも。山形大学では、日本にとって根深い、ある問題を3Dプリンターで解決しようと試みています。

川上准教授は、5年前から3Dプリンターを使った食品開発を始めました。
山形大学・川上勝准教授:「介護食の作る手間が大変だとか、施設で一人一人に合った硬さの食事を作るというのは非常に大変だというのは聞いている」

介護の現場では、食事に関して、多くの問題に悩まされています。介護される側も、流動食など、ペースト状のものが多く、見た目や食感など、食事の質を保つことが難しいのです。
山形大学・川上勝准教授:「家族と同じ見た目の食事が食べたい、食べさせてあげたいときに3Dプリンターがあれば、形あるいは食感を高めた食事が出せる」

見た目を本来の食材に近づけることで、介護される人の食欲を上げることができるといいます。さらに、介護だけではなく、普通の家庭での、食事用の3Dプリンターも開発中です。その先に見据えているのは、世界のあらゆる“食”の問題を解決するという未来です。

山形大学・川上勝准教授:「粉末の状態で保存しておけば長期保存もできる。必要なときに必要なだけ粉を取り出して、水と混ぜて、プリンターのインク(材料)として使えばフードロスは非常に減る。災害地が出た時に食材を粉末で送る」

学生たちの夢も、日々、膨らむばかりです。
山形大学・大学院生:「いままで見栄えが悪いとかで廃棄されていた食品や食材も使える。昆虫食を(3Dプリンターで)やっている人もいて、昆虫のままだと見た目の問題で食べづらいっていう人もいると思うが、形を自由に作れるのでどういう材料でも使えるようになる」

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