デザイン担当は3年目営業マン 東京スカイツリー10周年記念ライトアップ 舞台裏に密着[2022/04/12 21:00]

634m。約3年半の工事期間を経て、2012年に完成した東京スカイツリー。自立式のタワーとして世界一の高さです。

この10年間、工夫を凝らしたライティングにより、夜空を彩ってきたスカイツリー。その時々の世相をうつしだすのが「特別ライティング」です。金メダルをとった時、医療従事者への応援、東日本大震災への鎮魂の思い、またクリスマスの夜にも…その種類はこれまで100種類以上です。

■東京スカイツリーのライティング その裏側

会議室で一人パソコンに向かう人がいます。入社3年目の間々田哲弥(ままだ てつや)さん。次の時代を担って欲しいという先輩からの期待により、開業10周年の特別ライティングをデザインする大役に抜擢されました。

照明機器をコントロールするライティングデザインの設計図づくり。緻密な作業を繰りかえしてイメージに近づけていきます。

実は現在のスカイツリー、開業当初に比べると、照明機器が大幅に増えました。このように、複雑な動きや色の変化も表現できるようになった秘密は、東京オリンピックの開催にあわせて行った、照明機器のリニューアルです。

東武タワースカイツリー株式会社電波塔事業部 友光勝司(ともみつ かつじ)さん
「ちょうど東京が注目される年に目指しまして、羽田空港という東京の玄関口であるところからスカイツリーを確認できるように、そういった意味を込めてライティングの増強を行いました。10周年ということでまた新たな特別ライティングをやりますが、今回2019年に増灯した部分をフルに活用して、表現力豊かになっていますので、どうぞご期待いただければと。」

■特別ライティング検討会議

東武タワースカイツリー株式会社観光営業部 間々田哲弥(ままだ てつや)さん。観光営業部の先輩デザイナー 山田央(やまだ ひろ)さん。公式マスコットキャラクターのソラカラちゃん担当 箱石結衣子(はこいし ゆいこ)さん。

会議室でぬりえ。これも、もちろん仕事です。まずは、ぬりえでイメージをつくっていきます。

間々田さん:「イメージなのですが、一応ワンピースの青色ベースに白が太くなったのですが、格子がはいっているというこちらのパターンも…。」
山田さん:「もしこれが表現できるならこれが一番いいかな。どう?」
箱石さん:「そうですね、私もワンピースの柄が表現できている感じが一番いいかなと思うので、是非これを見てみたいなと思います。」

10周年の節目に挑戦するのは、公式マスコットキャラクターのソラカラちゃんのデザインです。ワンピースの格子柄を忠実に再現できるかどうかが成功への鍵となります。

間々田さん:「やっぱり今回は東京スカイツリー公式のソラカラちゃんを実際みんなが分かってもらえる、あれ見たときにこれがソラカラちゃんのライティングだと分かってもらえるにするので、じゃあどういう所の特徴を捉えていかないといけないのかなとあったので、今回はイラストにおとしてみて確認をしてみようかなと思っています。」

■試験点灯

本番が間近に迫った1日の夜遅く。間々田さんのライティングを実際に点灯して微調整する作業が行われました。スカイツリーの中で照明機器を操作する間々田さんに、どう見えているかを伝えます。

山田さん:「今、250mのところの下にさ、紫が伸びている。あれ望遠鏡の色なのだけど。」
箱石さん:「あーちょっと分かりづらいですね。」
山田さん:「ちょっと薄紫過ぎて。赤みが強い紫のほうがいい気がするよ。」
箱石さん:「ちょっと上の色に負けている気が。」
山田さん:「OK点いたありがとう。色味のバランスでいうとそこまで悪くないけど、黄色がちょっと暗い。」
箱石さん:「ちょっと暗いですね。」
山田さん:「もうちょっと鮮やかに黄色になるのだったら、そのほうがソラカラちゃんぽいかもしれない。」
箱石さん:「おお〜!」
山田さん:「格子見えるよ!」
箱石さん:「いちばんワンピースの柄に近い。」
山田さん:「ワンピースに見えるよ。」
箱石さん:「いいと思います。」
山田さん:じゃあ、これで。これでOKです、決定。いやぁ、めちゃめちゃいいよ。ソラカラちゃんに見える。」

■試験点灯終了後

間々田さん:「まだ、会社の人とかソラカラちゃんをよく知っている人たちが見てくれたので、一般のお客様も「たしかにそうだね」っていう反応をいただけるのか不安ではありますが、まあこれだけ褒めていただけたのでとても楽しみな部分ではあります。」



★訂正★
VTR中の間々田さんの名前表記に誤りがありました。正しくは「間々田 哲弥」さんです。関係者の皆様に深くお詫びし、訂正いたします。

こちらも読まれています