コロナ禍を生き残る 大逆転の経営戦略 ウエディングを最高のロケーションで[2022/04/21 20:20]

企業を襲った新型コロナウイルスの波。
売り上げは8割も落ち込む中、大逆転の回復を遂げた会社がありました。
(小野写真館・小野哲人社長)
「今こそが最初で最後、最大のチャンスだと。」
その挑戦から見えてくる、コロナ禍を生き残るための
起死回生のアイデアとは。
(小野哲人社長)
「南伊豆まで来て、桜がなんとかあったですね。」
2022年2月。静岡県の伊豆半島。
満開の河津桜のもと、お客さんを見つめているのは、写真館を経営する小野哲人(おの・てつんど)さん。
(小野哲人社長)
「伊豆に出ようと思ったわけでは全くなかったので、本当にいい意味で偶然の出会いではありましたね」
小野写真館は茨城県、ひたちなか市にある、従業員数130人規模の中小企業です。
(小野哲人社長)
「子供専用のスタジオになっていて、お子様と家族みたいな。」
元々は両親が営んでいた小さな写真館でした。
小野さんは大学卒業後、外資系の金関係の会社で働いていましたが、写真館を引き継ぐことを決め、2010年に社長に就任。
その後は結婚式場やフォトスタジオなどを新たに立ち上げ、多店舗展開も行うなど業績を上げていましたが、そこへ、新型コロナが直撃しました。
(小野哲人社長)
「ちょうど2年前の3月の卒業式がほぼ中止になった。
1600万くらいまず3月に返金した。」
ほぼすべての事業で予約がキャンセル。売り上げは8割減に。
先が見通せない中、小野さんは、ある考えに行き当たります。
(小野哲人社長)
「会社の存続さえも考えないといけないような何考えても絶望的な状況だったのは事実。だったらこれからもう会社を変えてやると。」
小野さんが目を付けたのが、事業買収、いわゆるM&A(エムアンドエー)による新たな事業の創設でした。
実はいま、中小企業の間でM&Aが活発化しています。
国内におけるM&Aの件数は年々増加しており、2021年にはおよそ4000件を超えています。
その背景の一つが、経営者の高齢化です。
引き継ぎ手がいないなどの理由で経営者の年齢層は年々上昇しており、試算では2025年には
70歳以上の経営者は245万人に及び、127万件が後継者不足になるといいます。
(小野哲人社長)
「2年前は逃げ場がないくらい、苦しかったですけど、そこまで追い込まれたことで逆にパワーが出た。」
コロナの中でも小野さんは、あえて、新たなビジネスを作りだそうと考えたのです。
(小野哲人社長)
「コロナをきっかけに変えたが、もう小野写真館は結婚式の会社でもなければ、成人式の会社でもなければ、単なる写真館ではない。感動体験を創出する会社に生まれ変わる。」
財政的な変化も転機となりました。
経営難にあえぐ中小企業をめぐっては、コロナの感染が本格化した2020年3月ごろから
政府系金融機関などが無利子・無担保の融資を実施。
支援のための政策も、捨て身の勝負を後押ししました。
(小野哲人社長)
「逆にチャレンジでいかないとこの先がないので、もうここから会社を全部ゼロから作り直すしかないなと。」
こうして、出会ったのがこの旅館でした。
「シンプルに言うと一目ぼれみたいな感じはありました。」
客室はたった4部屋。
全館オーシャンビューに、部屋付きのお風呂もある、知る人ぞ知る、温泉宿です。
(小野哲人社長)
「我々にしてみれば強みでしかなかったんですね。4部屋しかなかったということが我々にはそこもチャンスだった。」
敷地の中庭で家族や身近な人たちだけで結婚式を挙げた後、そのまま温泉付きの部屋に泊まって過ごす
2泊3日のスローな貸し切りウエディングプランに「写真館」のノウハウを融合させました。
絶好のロケーションもコロナ禍に直面したカップルたちの心をつかみました。
(ロケーションフォトを利用した新婦)
「友達とかも呼べるような環境でなかったので、だったら家族だけでロケーションで安全なところでできたらいいなというところで決めました。」
名物の河津桜のシーズンには、オンラインで予約がいっぱいになるほどに。
経営は上向き始めています。
(小野哲人社長)
「もちろん厳しい面たくさんあったんですけど、降り返ってみると、最初で最後かつ最大のチャンスっていうのが
今目の前に現れている状況で言うとまさしく今からだと思っていて、ここからの数年間が本当に勝負だと思っていますね。」

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