有夢路さん、緑夢さん…キラキラネームは認められる?戸籍の「読み方」試案[2022/05/17 16:36]

 有夢路(あむろ)さん、緑夢(ぐりむ)さん。いずれも実在する人物の名前です。すぐに音読できる人はあまり多くないでしょう。この名前をどのように呼ぶのか、法的には決まっていません。

 それは有夢路さん、緑夢さんだけでなく、国民一人ひとりの氏名の読み方も同様です。

 ■現在、戸籍に読み仮名は記載されていない

 「法的に決まっていない」というのは、氏名を戸籍に記載するよう規定している戸籍法に現在は読み仮名の規定がないためです。

 つまり、現在は国民の親族関係などを公に証明する戸籍に読み仮名は記載されていません。

 去年11月、氏名の読み仮名を戸籍に記載するための調査や議論が法制審議会の部会で始まりました。

 なぜそのような議論をするのか。

 政府は2024年にもマイナンバーカードを海外で使えるようにすることを目指していて、それにあたって氏名をローマ字で表記するために読み仮名の把握を急ぎたい考えです。

 また、戸籍に読み仮名を記載することで行政が個人データを50音順に管理できるようになるということです。

 ■「キラキラネーム」は認められる?

 法制審議会の部会が今月17日にまとめた中間試案では、読み方をどこまで認めるのかについて3つの案が提示されました。

 最も厳しい案は漢字の音訓読みや慣用によって読めるもの、または字の意味合い「字義」との関連性がある場合には読み方を認めるというものです。

 冒頭の「有夢路」さんは、それぞれの漢字の音訓読みで「アムロ」と読むことができます。「字義との関連性」で認められる名前には「緑夢」さんが当てはまります。

 「緑」の意味を英語にすると「グリーン」、略して「グリ」と解釈できます。これが字の意味との関連がある「字義との関連性」です。

 さらに「夢」を音読みの「ム」として全体で「グリム」と読むことができるとしています。

 そして、法務省の担当者が「ギリギリ許されると解釈できるかもしれない」としたのが「光宙(ぴかちゅう)」です。「光」の意味から光っている様子を表す擬態語「ピカ」と、「宙」の音読み「チュウ」で「ピカチュウ」と読むことができるかもしれないというものです。

 つまり、通常では読みにくい、いわゆる「キラキラネーム」でも、字の意味と読み仮名に関連性がある場合には最も厳しい案でも認めるとしているのです。

 次に厳しい案は、最初の案に「その他法務省令で定めたもの」を加えたものです。

 この案では、すでにパスポートなどの公的書類に読み方を記載している場合には字の意味との関連がなくても認められるとしています。

 提示された中間試案のうち最も寛容な案は、ひわいな表現や誹謗中傷につながる表現ではないなど、公序良俗に反しない読み方であればすべて認めるというものです。

 ■国民から「読み方」をどう集める?

 中間試案では今後、戸籍を持つ人が市区町村に読み仮名を申し出ることを想定しています。

 一定期間に申し出がなかった場合には市区町村長が職権で戸籍に読み仮名を記載するとしています。

 法務省は今年5月下旬にも中間試案を公表し、国民から意見を募ることにしています。

 その後、さらに議論したうえで戸籍法の改正案をとりまとめ、来年の通常国会に提出したい考えです。

こちらも読まれています