予報士のつぶやき これ暗号?天気予報の101[2022/05/19 14:05]

どの業界でも、その業界だけに通じる言葉があったり、ある数字が特定の意味を持ったりすることがあります。じつは天気予報の世界にも、暗号のような数字があるのです。

テレビで天気予報を伝える際は、「晴れ」や「くもりのち雨」など文章にしたり、太陽や傘などのマークで表示したりして、皆さんにこの先の天気を伝えています。
一方で、テレビ朝日のウェザーセンター内では以下のような会話が日常です。

【パターン1】
A:「あしたの東京って何だっけ?」
B:「“101(イチマルイチ)”です!」

【パターン2】
A:「夕方の予報で、“200(ニヒャク)”から“212(ニーイチニ)”に変わりました!」
B:「やっぱりね〜」

……これ、何のことだかわかりますか? おそらく気象関係者のみがわかる会話だと思います。私は天気の世界に入ったばかりの頃、これらの会話の意味がまったくわかりませんでした。「日本語でしゃべってくれる?」とさえ思っていました。では、上記の会話を気象関係者以外にも伝わるように翻訳してみましょう。ちょっとした解説も付けてみます。

【パターン1翻訳】
A:「あしたの東京って何だっけ?」
B:「“晴れ時々くもり”です!」
解説:これは、あすの東京の天気は何なのか確認している場面ですね。記事のタイトルにもある「101(イチマルイチ)」は、ワンちゃんでもプロポーズでもオーディション番組でもなく、「晴れ時々くもり」を表します。

【パターン2翻訳】
A:「夕方の予報で、“くもり”から“くもりのち一時雨”に変わりました!」
B:「やっぱりね〜」
解説:気象庁は、毎日午前5時、午前11時、午後5時の1日3回天気予報を発表しています。パターン2では、もともと午前11時発表の天気予報では“200(くもり)”だったのに、午後5時発表の天気予報で“212(くもりのち一時雨)”に変わったケースです。「やっぱりね〜」という言葉から、Bさんは事前に予報が変わることを想定していたようですね。さすがです!

「晴れ」や「雨」などの天気予報を数字で表したものは、「天気予報のテロップ番号」と呼ばれます。これはテレビ朝日だけで使っているものではなく全国共通で、気象庁から届く天気予報も文章と合わせてテロップ番号が記載されています。以下に、主なテロップ番号を紹介します。

▼主なテロップ番号と意味
100:晴れ
101:晴れ時々くもり
111:晴れのちくもり
200:くもり
201:くもり時々晴れ
211:くもりのち晴れ
212:くもりのち一時雨
300:雨
302:雨時々止む
313:雨のちくもり
400:雪
406:風雪強い

上記は比較的よく出てくる番号で私も慣れたものですが、これらはほんの一例です。テロップ番号は、全部でなんと100以上あります。登場回数が少ないものや季節的なもの(冬だけ出てくるような、雪に関するテロップ番号)は、「あれ?これって何だっけ?」と混乱することも……。テロップ番号に慣れるまでは大変ですが、一度覚えてしまえば短い言葉で端的に天気を表すことができる大変な優れものです。

天気予報を見るときは、「自分の地域の天気をテロップ番号で表すと何だろう」と考えてみると、新たな楽しみ方ができるかもしれません。

テレビ朝日気象デスク 津田紗矢佳

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