「朝、起きられない病気を知ってほしい」“自らの病を映画に”高校生の挑戦に密着[2022/06/03 23:30]

福岡県の映画館で上映された『今日も明日も負け犬』。“朝 起きられない”病気『起立性調節障害』と闘う女子中学生・なつみの物語です。高校生の映画コンクールで日本一に輝き、話題を呼んでいます。

監督を務めたのは、西山夏実さん(18)。自身も起立性調節障害を抱えています。起立性調節障害とは、自律神経がうまく働かず、「朝起きられない」「めまい」などの症状が出る病気です。詳しい原因や治療法はわかっておらず、夏実さんも、中学生のときに何の前触れもなく発症しました。
西山夏実さん:「『早く寝ないから起きれないんじゃないの』とよく言われるんけど、夜になったら140とかまで血圧が上がる。動悸がするから寝れない。午後10時、11時とかに寝ようとするけど、寝られない時間が朝の6時とかまで続いて、一人で座っている。気付いたら寝ていて、起きたら夕方みたいな」

怠けや、さぼりと誤解されやすいこの病気を多くの人に知ってもらいたい。夏実さんは、SNSで仲間を募り、映画を作ることにしました。そこには、いろんな苦労があったといいます。
西山夏実さん:「河川敷一つでも福岡県の河川敷をいっぱいめぐって、ここは撮影していいのか、どこに申請したらいいのかとか。一個一個やっていって。学校帰りとかに、みんな制服で、警察に許可をもらいに行く。どうしても『えっ!高校生?!なんで』最初はそんな感じだった」

すべてが手探りのなか、懸命にカメラを回す夏実さんを、さらなる困難が襲います。早朝の撮影では、病気の影響からめまいを起こし、倒れこむこともありました。懸命に撮影を続けるなかで、夏実さんにある想いが芽生えてきます。
西山夏実さん:「活躍している人とか、キラキラしている人たちに目が行きがちだけど、頑張れない人にも理由があるんだよというのを伝えたかった。励ますとか、頑張れっていう映画じゃなくて、一緒に頑張ろうと寄り添える映画にしたい」

そして、1年という時間をかけ、映画はついに完成しました。

先月、夏実さんの姿は、神奈川県の映画館にありました。多くの人に知ってもらうために、茅ケ崎で開催される映画祭への出品を決めたのです。
西山夏実さん:「全く知らない人たちに知ってもらうというのが一番の目標。ちゃんと必要としている人のところに届けていくべき作品だなと思っているので、世界中の同じように苦しんでる人たちに届いたらいいなと思う」

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