予報士のつぶやき ゲリラ雷雨を事前に知る方法[2022/06/09 12:52]

暑い季節になると、晴れていたのに突然激しい雷雨になる、いわゆる“ゲリラ雷雨”が発生することが増えてきます。先日も関東では大規模な雷雨となり、大粒の雹(ひょう)が降って農作物や家屋に大きな被害が出るなどしました。

雷や雹(ひょう)をもたらすのは、背の高い雲である「積乱雲」です。積乱雲一つの大きさは数kmから十数km程度と比較的小さな現象で、いつ・どこで発生するのかを正確に予測することは難しいのが現状です。しかし、“ゲリラ雷雨”が発生しそうかどうかを事前に知る方法があります。いくつかのポイントに注目すると、どのあたりで、いつ頃“ゲリラ雷雨”が起こりそうなのかがわかるんです。

▼注目ポイント(1)天気予報の「大気の状態が不安定」という言葉
激しい雷雨をもたらす積乱雲は、大気の状態が不安定な時にのみ生まれます。大気の状態が不安定とは、上昇気流が強まりやすく、積乱雲が発生・発達しやすい状態のことです。上空に寒気が流れ込んだり、暖かく湿った空気が地上付近に流れ込んだりすると、大気の状態が不安定になります。天気予報では、少なくとも前日までには「大気の状態が不安定」という言葉を使い、積乱雲が発生する可能性を伝えています。天気予報を見るときは、テレビ画面の天気マークだけでなく、気象キャスターが話す内容にも耳を傾けてみてください。

▼注目ポイント(2)雷注意報が発表されているかどうか
雷注意報は、落雷のほか、急な強い雨や竜巻などの突風、雹(ひょう)など、積乱雲の発達に伴う激しい気象現象により、人や建物への被害が発生する恐れがあると予想したときに発表されます。つまり、自分の住む地域に雷注意報が発表されていれば、積乱雲が発生する可能性があるということです。特に、晴れているときに発表される雷注意報は、“ゲリラ雷雨”の予告です。自分の住む地域に雷注意報が発表されているかどうかは、気象庁のウェブサイトで確認することができます。

▼注目ポイント(3)雨雲レーダーを使いこなす
天気予報で「大気の状態が不安定」と聞いた……。自分の住む地域には雷注意報も発表されている……。そうしたら、今度は気象庁のウェブサイトで、どこで雷雲が発生しているのか確認してみましょう。ウェブで「気象庁 雨雲の動き」と検索すると、気象庁の雨雲レーダーのページにつながります。「雨雲の動き」では、どこで雨が強まっているのかをほぼリアルタイムで見ることができます。また、雷のアイコンをクリック(スマートフォンの場合はタップ)すると、雷が発生している場所もわかります。さらに!1時間先までの雨雲の動きを確認することができるんです。自分のいる場所に雷雲が近づく予想になっていたら、建物のなかへ入り雷雨を回避することができます。

“ゲリラ雷雨”と呼ばれてはいるものの、上記のポイントを押さえておけば、ずぶ濡れにならずに済みますし、事前の対策・心構えをすることもできます。天気予報や便利な気象ツールを使いこなし、日々の生活に役立ててみてください。

テレビ朝日気象デスク 津田紗矢佳

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