ワクチン長引く副反応の実態「このまま死んでしまうのか…」体調不良に加え経済負担も[2022/06/09 23:30]

去年6月、新型コロナワクチンの大規模接種会場での接種対象が64歳以下になり、職場や大学での接種も始まるなど、日本のワクチン接種が加速し始めました。

あれから1年。「ワクチンによる副反応が長引いている」。全国で、そんな声が上がっています。

名古屋市には、1000件以上の相談が寄せられています。相談の中身は、長引く頭痛、倦怠感、めまいなど多岐にわたります。
愛知県看護協会・高木仁美専務理事:「こんなにも多くの方たちが副反応で長期にわたって苦しんでいる」

札幌市でもワクチンによる副作用を訴える人がいます。
とよひら公園内科クリニック・藤本晶子院長:「“コロナの後遺症”の患者さんを50名くらい診ているが、その人たちと同じような、あちこちの痛み、慢性疲労症候群のような倦怠感、ワクチンの後、そういう症状が続いていたというところで、ワクチンの副反応が続いていると考えた」

佐藤さん(仮名)41歳。去年5月、ファイザー社のワクチンを接種。すぐにアナフィラキシーを発症しました。1週間後には、頭痛、全身の痛みやしびれ、倦怠感。徐々に左耳が聞こえなくなり、今はほとんど聞こえません。12月からは動悸も始まりました。今も、痛みで胸や頭をおさえます。朝昼晩、薬は欠かせません。
佐藤さん(仮名):「痛み止めだけ処方では間に合わないので、市販で80錠の箱を買っている。一箱で半月分」

休日は、ほとんど寝て過ごしますが、仕事は続けています。
佐藤さん(仮名):「見た目としては頭が痛いだけでしょう、疲れているだけでしょう、と。休んでいたら『怠け者だよね』という感じになる」

医療機関が、副反応の疑いがある症状について、国に報告したものを見ると、佐藤さんのように、長期間、症状が続くものがありました。
『ワクチン接種の4カ月11日後、高次脳機能障害の後遺症を引き起こした』
『発症日は2021年5月で、10月20日から、杖歩行、屋外は車椅子を使用した。患者は2回目接種前、全く健康的な若い女性であった』

その数は、どれくらいあるのでしょうか。厚生労働省によりますと、どの程度の期間をもって“長期間”とするかなどの定義がないため、集計はありません。ファイザー社のワクチン接種後に副反応の疑いがあると報告された数は約3万件。接種回数の約0.01%です。その中でも「長期化する副反応」は、ごく少数になります。

ワクチンとの因果関係を確定できないことも多いなか、厚生労働省では、因果関係の有無に関わらず、医療機関を受診できるようにするよう、都道府県に通知を出しました。

3人家族の佐藤さん。いま頭を悩ませているのは、経済的負担です。
佐藤さん(仮名):「症状が強いときは、このまま死んでしまうのかなと。家族に迷惑をかけることもありえるのではないか」

佐藤さんは、新たに保険に加入。保険料や医療費が、家計を締めつけます。国には、体調不良がワクチン接種によるものだと認められると、医療費などが支給される救済制度があります。佐藤さんは、その申請のため、法務事務所へ相談に行きました。
佐藤さん(仮名):「残存障害があるので、障害(年金)も申請してみればと(役所で言われた)」

厚生労働省では、申請が制度の対象となるか、因果関係などを審議します。委員を務める釜萢敏氏は、こう話します。
新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査部会・釜萢敏委員:「予防接種後に体調不良が長く続くという可能性については、常に頭に入れておかなくてはいけないので、“明らかにワクチン接種とは関係がない”と判断できる事例以外は、できるだけ救済の方向にもっていく」

そのうえで、釜萢氏は、リスクよりも利益の方が大きいワクチンであると話します。
新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査部会・釜萢敏委員:「ワクチン接種を考え直さなければいけない状況、データはまだ出ていない。特に高齢者、基礎疾患をお持ちの方、それ以外の年齢の若い方も追加接種を受けるメリットは非常に大きいと考える」

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