東京オリパラ残る“レガシー”活用は?毎年赤字の見込みも…大会経費1兆4238億円[2022/06/21 23:30]

東京オリンピック・パラリンピックの閉幕から約10カ月。大会を運営していた組織委員会は21日、最後の理事会を開き、開催経費が総額1兆4238億円に上ったと公表しました。

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会、橋本聖子会長:「組織委員会解散後も引き続き、東京大会のレガシーを未来につなぎ、世界と未来をより良い方向へ変えていくために、ご尽力を頂くことをお願いを申し上げたい」

東京都、小池百合子知事:「振り返ってみますと、いくつものレガシーを残すことができたのではないかと存じます。これらのレガシーをさらに磨き上げてまいります」

その数々の“レガシー”は今、どうなっているのでしょうか。

選手村は現在、リフォーム工事が進められていて、分譲マンションの販売もすでに行われています。

オリンピックのために東京都内に新設された競技場は、国立競技場を含めると7つ。建設費用は2944億円に上ります。

収支を見てみると、例えば国立競技場は2022年度だけで、維持管理費などで約13億円の赤字の見通し。さらに、土地の賃借料も11億円ほどかかります。

競泳の会場となった東京アクアティクスセンターも、都の試算では毎年6億4000万円の赤字になる見込みです。

アクアティクスセンターのすぐ近くにある、東京辰巳国際水泳場は、アイスリンクに改修される方針です。都によりますと、アイスリンクへの改修費用には、約44億円がかかるといいます。

他にも、カヌー・スラロームセンターや大井ホッケー競技場など、有明アリーナを除く、5つの施設で毎年、大きな赤字となる見込みです。

こうしたお金は、都民の税金によって賄われることになります。

元々“コンパクト五輪”と銘打った、東京オリンピック。立候補時の予算は7340億円でした。ふたを開けてみれば、かかった経費は1兆4238億円。

会社員(50代):「それだけずれるって、民間企業なら普通にありえない。どういう計算したら、そうなるのか不思議。何でそこまでかかるのか、本当に理解しがたい。やっちゃったものはしょうがないと諦め」

一方、プラスにつながったという声も…。

高校生(18):「コロナの中で受け入れた経験が、これから日本の街づくりで良い経験になるのでは。1兆円使ってやる話じゃないが(得たものが)あるのかなと」

東京オリンピックの開催には、賛否の声がいまだに残っています。

21日午後7時過ぎ、最後の会見で橋本会長は、東京オリンピックをこう総括しました。

東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会、橋本聖子会長:「東京2020大会の重要なレガシーの1つは人だと思う。1人でも多くの方に、東京大会という旅路から何かのヒントやきっかけを得て頂き、この先の豊かな人生の実現と、スポーツを通じた社会の貢献に、一層の理解と協力を頂けることを願っている」

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