“制限なき夏休み”ビーチも花火大会も第7波の影 沖縄離島は医療危機「崩壊に近い」[2022/07/24 22:30]

東京では木曜から3日連続で3万人超と、感染が急拡大しています。
そして24日も、日曜としては過去最多の2万8112人です。
そんな中で迎えた夏休み最初の週末。
行動制限がない中、期待と不安が入り混じる観光地の姿が浮かび上がってきました

▽“発熱外来”朝からクリニックに行列
(佐々木一真アナウンサー)「すでに多くの人が列を作っています。都内にありますこちらは発熱外来です。まだ診察が始まる前なんですが、既に20人以上が列を作っているという状況です」
新型コロナの感染が急拡大する中、日曜も診察を行っているこちらのクリニックには、朝から多くの患者が詰めかけていました。
中には、埼玉や神奈川など県を跨いで来る人も…
医師「お熱が出てるんですかね」
患者「上の子が39度で、下が38度7分。私が37度7分」
こちらの発熱外来では、今月上旬ごろから患者が増え始め、ここ数日は1日200人を超える日が続いています。そのおよそ8割が陽性患者です。
「結果の方が陽性でございましたので…」
(あおぞらクリニック 島陽一郎院長)「スタッフ、医療従事者ともどもかなり疲弊しているところでありますので、スタッフの負担がこれ以上増えるようであれば、受診の患者さんの人数制限をしたりという対応をとらざるを得ないのかなと」
24日、東京の新規感染者は2万8112人と、4日ぶりに3万人を下回ったものの、1週間前の日曜よりも、1万人以上増えています。

▽抗原検査キット「入荷待ち」PCRも行列
新宿のPCR検査所には、長蛇の列ができていました。中には、検査の予約が取れず、遠くから来た人も…
「本当は住んでいる近くで受けたかったんですけど、きょう中に受けられる所が見つからなかった」
政府は医療機関のひっ迫を防ぐため、抗原検査キットの活用を推進。患者自ら検査してもらう体制を整えようとしているのですが…
(佐々木一真アナウンサー)「こちらは東京中野区の薬局です。入口には『抗原検査キット来週入荷予定』という張り紙があります。現状では品切れとなっているようです」
こちらの薬局では、2週間ほど前からキットを求める人が増え始め、先週入荷したキットもすぐに完売。10日ほど、品切れ状態が続いていると言います。
(本町薬局本店 店主 小山功男さん)「あっという間に無くなってしまいますね」
Q. 発注してもなかなか届かない?
「届かないですね。(業者は)『何とか探してみます』とか『あるところから(調達)します』とか。そういう返事を頂いたんですけど、なかなかスムーズに入ってこない状態ですね」
全国の新規感染者は、17万6千人を超え、茨城と京都では、過去最多となりました。

▽夏の夜空「特大スターマイン」に35万人
“夏の風物詩”が戻ってきました。台風やコロナの影響で中止になっていた静岡市の安倍川花火。5年ぶりの開催です。
今年は感染対策として、打ち上げ時間を短縮し、混雑を緩和するため、打上げ場所も分散しました。
「本当だ、形がある。イチゴ、リンゴ、レモン。」
子どもたちには色とりどりの花火が大好きなフルーツに見えるようです。いつも通りの夏休みとなるのでしょうか…

▽「行動制限ない」けど…“第7波”直撃
政府は現時点で、新たな「行動制限はしない」としています。
(佐々木一真アナウンサー)「青空と強い日差しのもと、砂浜はこの賑わいです。多くのパラソルがこのように立っています。そして、海の方を見てみても、たくさんの人が海水浴を楽しんでいます。」
鎌倉市の由比ガ浜海水浴場は、おととし、去年と、コロナの影響で海開きができませんでしたが、今年は3年ぶりに海水浴場が開設され、この人出です。
父「ダッシュ、ダッシュ。」
母「初めての海だもんね。」
浮き輪をつけて、恐る恐る、海の中へ。
母「最高です。気持ちいい。」
海の家も3年ぶりのオープン。今年の夏はビールを楽しむこともできます。
「めっちゃうまいっすね。」
「やっぱ屋内と違って、海風もあるから最高ですね。」
海の家の店長は“行動制限がない夏”を喜びつつも…。
(海の家「クイックシルバー」 岩間崇充店長)「かなりひやひやで、まん延防止と緊急事態宣言等が出た時には海の家は一切営業ができなくなるので。壊すしかなくなっちゃうので。」
“第7波”は基本的な感染対策だけで乗り切ることができるのでしょうか…
(東京から来た男性)「行動制限しても増えていくと思うので。行動制限したら人生もつまらないですし、(行動制限)しなくても良いんじゃないかなと思いますね。」
Q. 行動制限を出さないという話ですけども?
(群馬から来た親子)「できれば出してもらうというのも。今後(感染者が)増えてくると、(行動制限)してもらえると、小さい子もいるので助かるかなと思います。」

▽マスク外して“食べ歩き”拭いきれない不安
去年の夏は「緊急事態宣言」下だった鎌倉駅前の小町通りも、今年はこの賑わいです。鎌倉市は条例で、混雑した場所などで食べ歩きしないように呼びかけていますが、どうしても人が増えると…。
(佐々木一真アナウンサー)「行き交う人の中には食べ歩きをしながら、小町通りを歩く人の姿もあります。」
(鎌倉小町商店会 今雅史会長)「食べ歩きの問題が市民の方々からの苦情も多く寄せられるようになっていまして、結局、マスクを外しての飲食をやられると、やはり気をつけていただきたいと思います。」
商店会長は、「行動制限なし」では乗り切れないのではと心配しています。
(鎌倉小町商店会 今雅史会長)「(感染者の)ピークが見えていないというのが一番今問題ですよね。感染の拡大の度合いを見てみると(行動制限を)出さざるを得ない状況に徐々に近づいてきているのかな。」

▽「闘牛大会」急きょ感染対策し開催
感染状況が最も深刻な沖縄。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数は1977人と東京(1223人)を大きく上回り、全国最多です。
そんな中、“行動制限なき夏休み”で、全国から観光客が押し寄せています。
(栃木から来た観光客)「私、きょう誕生日でして、なかなか日程をずらせなかった。」
(岡山から来た観光客)「行動制限がかかってたら多分行けてなかった。僕らとしてはよかった。」
観光客で賑わう街…。その一方で、沖縄県は県民に対して『不要不急の外出は控えるよう』求めています。この要請に地元の人は…。
(沖縄県民)「あまり不安はないのでなるべく観光にもたくさん来て欲しいですし、経済を回して欲しいので全然来て欲しい」
「(コロナが)落ち着くまでは本当は観光客は来ない方がいいです。本当はちゃんと規制して、観光客を増えないようにやって欲しいです。」
さらに「会食は4人以下・2時間以内」というルールも…。
(大衆酒場アゲサワ ヒロ店長)「行動制限が無いということは、結局すべて自己判断でやって下さい、それはお客様も自己判断、我々経営側も自己判断ということになりますので、すべてのさじが自分たちに投げられているという苦しさはありますよね…」
夏の書き入れ時にこの制限。予約のキャンセルも相次いでいるといいます。
(大衆酒場アゲサワ ヒロ店長)「月曜日から本当に心配ですよ。平日ほんとにお客さん来るのか。」
イベントに関しても…
(沖縄県 玉城デニー知事)「対策が十分でないと思われるイベントでは、規模の縮小、延期も含めて事業者側に慎重な判断を求めます。」
24日、うるま市で行われた闘牛大会。古くから地域の文化として、市民に親しまれてきました。大会開催について関係者は…
(闘牛大会関係者 伊波大志さん)「ずっと暗かったこの世の中を1人ずつでも気持ちを明るい気持ちを取り戻してくれたらいいと思って僕らは頑張って開催している」
去年は2回の大会を中止。今回の制限で、検温・消毒はもとより、急遽1000人までの入場制限を設けるなど対策に追われました。
およそ500人が訪れた闘牛大会。その多くは地元の闘牛ファンだといいます。
(来場者)「ずっと(大会が)無かった時期もあったので、やってもらえるのはどんな制限があっても嬉しいです。」
「観光客が入ってくるのを制限しないとコロナは減らないと思うのでもう少し考えて欲しい」

▽「崩壊に近い」離島の医療危機
離島の医療は崩壊寸前です。石垣島には救急病院が2つしかありません。そのうちの1つ、八重山病院では、23日もコロナ患者が救急搬送されてきました。
(県立八重山病院 酒井達也医師)「かなりひっ迫といいますか、崩壊に近い状態になっています。ここ2週間くらい常に準備したコロナ病床100%超えているような状態が続いている状況です。」
こちらの病院では、29床のコロナ病床に対して患者数は35人と、病床使用率が100%を超えています。
(県立八重山病院 酒井達也医師)「高齢者の患者さんが発熱されて、入院をご希望される方も多いんですけども、酸素が問題なかったりした場合はなんとかご自宅で、帰ってもらってみてくださいという形でお願いせざるを得ない状況が続いています。」
コロナ以外の診療にも影響が…
(県立八重山病院 酒井達也医師)「完全に外来の方は停止していますし、延ばせる検査・手術に関してもすべて停止してます。通常診療を再開できるめども全く立っていないという状態です。」
“行動制限なき夏休み”これからさらに増えると思われる観光客に対しては…
「防げない病気はどうしようもないと思うんですけど、医療機関への受診を出来るだけしないですむ対策を講じていただきながら観光していただけたら。もし観光中にコロナになられた方の行き先が今後かなり難しいと聞いているのでその辺も危惧している。」


7月24日『サンデーステーション』より

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