患者の急増でやむを得ず…FAXに“逆戻り”そのワケは?保健所の“今”第6波との違いも[2022/07/26 23:30]

新型コロナの感染が急拡大するなか、東京・江戸川保健所のなかは意外なほど落ち着いています。

半年前の第6波では、電話がつながらなければ、何度もかけ直して感染者の健康観察を続けていました。

それが今、重症化リスクの低い人はショートメールで症状を確認できるよう、徹底的に効率化を図りました。

江戸川区健康部・高原伸文部長:「第6波の時に比べると、業務は電子化とか効率化に努めて、スピードアップと、従事する応援職員の数も以前より減らす形で対応できている」

すでに江戸川区の感染者も第6波のピークを超えていますが、応援職員は3分の1で済むようになりました。

こうしたなか、想定外の事態も起きています。

患者の発生届はこれまで、医療機関が政府の情報システム『HER−SYS(ハーシス)』に入力することで共有されていましたが、ここにきてFAXで届くことが増えたといいます。

江戸川区健康部・高原伸文部長:「FAXで保健所に提出されるケースが今、非常に増えている。提出された用紙を職員で1件1件入力しているので、それに相当、保健所側は時間を取られている」

効率化に逆行する現象が、なぜ起きているのでしょうか。

保健所と同じ、江戸川区にあるクリニック。一日の診察を終え、発生届の作成に取り掛かります。

一之江ファミリークリニック・福江光倫院長:「一日に100人も発生届を出すと、残務の時間が長くなり、スタッフにも疲弊が見えている状況。入力が難しく、パソコンの台数が限られている。手書きの方が利便性がよく、甘えさせていただいている」

患者の急増で、やむを得ずHER−SYSでの入力からFAXへと切り替えたといいます。

一之江ファミリークリニック・福江光倫院長:「電子カルテとか、情報共有が自動的にできるシステム。電子カルテの内容を、保健所とそのまま共有できたら良い」

こうしたなか、HER−SYSにさらなる問題が起きました。

26日午前10時半ごろから、一部でログインできない不具合が発生。厚労省によりますと、不具合が生じたのは感染者の多い地域が中心で、アクセスが一斉に集中したことが原因ではないかとみています。

三浦医院・三浦和裕院長:「システムに入れないので、仕事が全く進みません。今夜も帰れるか分からない。保健所や都道府県への報告ができません」

26日、東京の感染者は再び3万人を超え、前の週と比べると3倍近くに。大阪は初めての2万5000人台で、過去最多。前の週から5倍以上に増えています。

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