焼肉店に“淘汰の波” 食肉高騰で倒産相次ぐ「もうやめたい」[2022/08/12 17:48]

 今、街の焼き肉店が窮地に立たされています。その背景には、ウクライナ情勢が影響しているようです。

 食肉の価格が高騰する“ミートショック”の影響で、廃業寸前に追い込まれる焼肉店が相次いでいます。

 韓国料理東京ガーデン、ソン・ウンヒ店主:「大変。やめるかもしれない。やめたいくらい。1カ月に『肉の値段が3回上がる』と言われた時は本当にびっくり」

 和牛の卸売り価格は2年前に比べ、2割近く高騰しています。

 「焼肉の聖地」とも呼ばれ、多くの焼肉店が集まる東京・荒川区の三河島エリア。

 焼肉モランボン・金田聖哲店主:「ハラミとかタンとかが高騰してて品物を集めるのが大変。品薄でないのでハラミは8月からまた値段が上がった」

 和牛の内臓の卸売価格は、去年より3割以上も高騰。

 高騰の背景には、ウクライナ情勢の影響も。トウモロコシなど、ウシの飼料が高騰したことが、食肉の値上がりに拍車を掛けています。

 さらに、輸入牛肉は輸送コストの上昇や円安の影響で割高に。アメリカ産の牛タンはコロナ前に比べて1.5倍に高騰しています。

 街の焼肉店からは嘆きの声が。

 韓国料理東京ガーデン、ソン・ウンヒ店主:「お客さんも値段を上げたらもっと来なくなる。友達もいっぱい店をやめている今」

 近所には最近、閉店したという焼肉店も…。

 焼肉店の倒産は、昨年度が18件。前の年の1.5倍に急増しています。倒産した店の9割が、中小規模の焼肉店です。

 東京商工リサーチ情報本部・後藤賢治課長:「ここに来て感染者数の拡大、高止まりが続いていて、食材や光熱費の高騰も影響を受けてダブルパンチのような状況が続いているので、比較的規模の小さい焼肉店の倒産がこれから本格化する恐れがある」

 実際、閉店に追い込まれた焼き肉店に話を聞くと…。

 今月中旬に閉店する焼肉店の店長:「8月の中旬で閉店の予定。最近の原料高が響いている。各家庭での財布の具合もどんどん厳しくなるなか、値上げすると客離れも起こるのではないかと。続けていくと赤字が膨らんでいくと考えた」

 物価高騰による「負の連鎖」は、食肉の仲卸も直撃。

 焼き肉店に貼られている卸売業者の営業日カレンダー。8月はバツ印だらけ。ひと月で20日間が休みになっています。

 韓国料理東京ガーデン、ソン・ウンヒ店主:「(焼肉店から)注文が入らないから休んじゃったほうが良いと。配達するにも人件費がかかるからできませんと言われた。肉が品切れした場合にすぐに注文できず間に合わないから困る」

 悪循環が続き、自転車操業に陥っています。

 韓国料理東京ガーデン、ソン・ウンヒ店主:「支払いが間に合わないからちょっと滞納している。盆休みでお客さんが来てくれれば頑張って働いて返したい」

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