宿泊客「陽性」に追われるホテルも…観光客の感染増で地元住民の療養先がなくなる懸念[2022/08/14 22:30]

14日、Uターンラッシュのピークを迎えたお盆休み。
制限がなく多くの人が動いた一方、帰省先や旅先での感染が相次ぎ、療養施設は逼迫しています。
地元の人たちも療養先がなくなる懸念がでてきました。

▽お盆で逼迫する地方の“臨時発熱外来”
(医師)「陽性とでていますね。赤い線と青い線がでていますから」
検査の結果を、車のドア越しに伝える医師。大分市医師会は、医療機関の休みが多いお盆に合わせ、『ドライブスルー方式』で受診できる、臨時の発熱外来を開設しました。
「ドライブスルー発熱外来には多くの車が診察を待って並んでいます。ナンバープレートを見ると『なにわ』や『野田』など県外からの車も見られます」
(医師)「鼻から調べます。かなり奥まで入りますよ、いいですか、ちょっとキツイけどね…」
休日返上で取り組む医師ら。患者は、その場で抗原検査の結果を知ることができます。
このところの感染高止まりに、やってくる患者は後を絶ちません。中には…
(看護師)「酸素(飽和度)の値を測ります。深呼吸しましょうか、バイクで来たからね」

受診は、発熱などの症状がある人のみの完全予約制。コールセンターには、受付開始から電話が鳴りやみません。
「2人ですね、2人ですと14時30分が、もういっぱいなので…」
(コールセンター担当 芦刈美幸さん)「もうひっきりなしで電話を切ればすぐに次の方からかかってきます。市外の方とか、あとは県外の方、帰省されて受診っていう方もいらっしゃいます」
(医師)「次はどこ?」
(看護師)「こっちです」
(医師)「コロナの抗原検査、陽性が出ています。コロナ感染症の診断になります」
13日は、191人中、139人の陽性が確認されました。そのうち17人が大分市以外の人だったと言います。
(大分市医師会 山本貴弘会長)「大分市内においてはですね、8月に入って徐々に県外在住者の感染者が増えてきている。お盆の帰省で今週から来週にかけて、さらに感染者の増加傾向が強まるのではないかと。その場合は、臨時のドライブスルー外来を9月以降も検討していきたいと。」

▽帰省前の陰性一転…実家で「陽性」の妊婦
2歳になる息子を両親に会わせようと神奈川から福岡へ帰省したAさん。帰る前に検査で陰性を確認したのですが…
(Aさん)「え!どうしようって…気持ちが一番ですね」
実家に到着した3日後、咳や鼻水の症状が出始め、自ら抗原検査をしたところ、「陽性」判定が出ました。
(Aさん)「実家が自営業なので、実家の仕事に影響が出ないかっていう心配が一番ありましたね」
これは、Aさんの母親が撮った長男の映像。
「陽性」とわかってからは、一人、別の部屋で隔離生活を送っています。さらに心配なのは…
(Aさん)「これは2人目の母子手帳です。(妊娠)6週目です」
お盆休みのため、実家近くで開いている産婦人科は少なく、不安が募ります。
(Aさん)「やはりまだ6週目で今、心臓とか主要な臓器を作られている時期ではあるので、そこが一番不安ではあるのかなと思います。もう誰にもうつらずに、療養期間が終わることが一番とは思いますね。」

▽宿泊客が「陽性」対応に追われるホテル
沖縄は、特に医療の逼迫が深刻で、本島の病床使用率は、101.3%となっています。観光客を受け入れるリゾートホテルでは…
(オリエンタルホテル沖縄リゾート&スパ 金城努 支配人)「こちらがクラブラウンジです。オープンエアで楽しめるように、館内でも広いロビーに移設して」
こちらのホテルでは、密にならないようラウンジを改装するなど、感染対策を徹底。さらに、屋外で楽しめるサービスも増やしました。
それでも、避けられないのが、宿泊客の陽性判明です。
(金城努 支配人)「これまでに何度か、これだけ(陽性者が)増えていますから、あったんですけど、その際はお客様に延泊、お食事とかお飲み物すべてドア前にデリバリーしてサービスをしています。」
沖縄県は、陽性になった観光客に対して、宿泊先での療養を求めています。
(金城努 支配人)「そのお客様が出発された後も、なかなか(部屋の)使用は難しいので、一定期間開けて清掃なり、メンテナンスをして、うまくお部屋のコントロールをするのが大変でしたね。出来ることは最善を尽くして、対応させていただきながら、お客様に安心して滞在できるようなスタイルはこれからも続けていきたいと思います。」

▽観光客感染で地元住民に“しわ寄せ”も
沖縄では、宿泊療養施設も、観光客など県外に住む人の割合が増加。離島では、8割が県外の療養者で占められています。
(沖縄県コロナ対策本部 医療コーディネーター 佐々木秀章医師)「ホテルも次の予約が入っていたり、その部屋を使えるかどうかというのは、ホテルのご厚意をいただかないとできないところもありますので。必然的に家のない観光、県外住所の方が宿泊療養施設に入られることが多い。」
宮古島に住むBさんは、コロナに感染し宿泊療養を希望しましたが入れなかったと言います。
(Bさん)「基礎疾患で気管支が弱いっていうのと、ぜんそくを持っているので、できればホテル療養という形をしたかったんですけど、医者の方にも、保健所の方にも、(宿泊療養施設は)空きがない状況だと言われたので。」
県外の療養者が、さらに増えれば、地元の人たちの療養先が無くなることも懸念されます。
(Bさん)「皆さん観光に来ているので、緊張感とか危機感はちょっと感じられなくて。マスクは外して大きな声でお酒を飲んで騒いだりっていうのを見ていたので。まあやるせないですよね。こちら地元の人たちからすると。」
(佐々木秀章医師)「正直、県民もコロナで具合が悪くなっても、一般の救急になったとしても、もう今行くところがないんですよ。ここに来るっていうのがどういうことなのかというのを、考えて、準備をして、リスクを踏まえて、その対策を練った上で沖縄のほうに遊びに来てください。」


8月14日『サンデーステーション』より

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