予報士のつぶやき なぜ夏〜秋に台風接近多い?[2022/08/24 13:20]

8月も終盤! 新学期を目前に控え、宿題に追われているお子さんもいらっしゃるかもしれません。夏休みはまもなく終わりますが、台風シーズンは続きます。

8月24日正午現在、日本近海には台風9号と台風10号が存在しています。9号と10号に関しては日本から離れたところを進む予想です。このため、陸地では大きな影響はないとみられますが、海上では高波に注意が必要です。

この二つの台風が過ぎ去ったあとも油断はできません。日本に接近する台風の数(平年値)を見てみると、8月と9月が年間で最も多くなっています。夏から秋にかけて日本に近づく台風が多くなるのは、台風の特徴と日本付近を吹く風に理由があります。

じつは、台風は自分自身で動く力が弱いという特徴があります。「台風の進路」という言葉を使いますが、台風自身の意思で動いているわけではなく、周囲の風に流されて台風は動いているのです。台風を流す風は「指向流(しこうりゅう)」と呼ばれ、主に二つあります。

一つは、太平洋高気圧の時計回りの風です。日本の南海上で発生した台風は、この太平洋高気圧の時計回りの風に流されて北上します。そしてもう一つは偏西風です。偏西風は、日本を含む中緯度帯上空で強く吹いている西風のこと。主にこれら二つの風によって、台風は動かされています。太平洋高気圧や偏西風の位置は季節によって変わるため、台風の取りやすい進路も季節によって変わってくるのです。

例年の8月〜9月ごろは、太平洋高気圧と偏西風が台風を日本に運びやすい場所に位置しています。このため、太平洋高気圧の時計回りの風に流されて北上してきた台風が、今度は偏西風によって東へ流されるようになり、放物線を描くように日本へ近づいてくるのです。

台風は線状降水帯とは違い、数日前から事前に備えることができるケースがほとんどです。台風が発生したら台風情報をこまめに確認し、自分の住む地域が台風の進路にあたる場合は、ハザードマップや避難経路の確認、防災グッズの点検、停電対策など早めに備えを済ませましょう。

テレビ朝日気象デスク 津田紗矢佳

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