【VRで復活】イルカショー追体験も!「京急油壷マリンパーク」がバーチャル空間に移転[2022/09/01 16:00]

 惜しまれつつ閉館した水族館が1年の時を経て最新の技術で復活。あの思い出がよみがえります。

 入り口にはあんぐり開いたサメの大きな口。中に入ってみます。

 ロビーを抜けて迎えてくれたのは古代の魚「チョウザメ」。悠々と泳いでいます。

 ここは、神奈川県三浦市にあった水族館、「京急油壺マリンパーク」。

 去年9月、53年の歴史に幕を下ろしておよそ1年。

 実は、こうしてバーチャル空間に建物ごとお引っ越ししていたのです。

 路上博物館理事・齋藤和輝さん:「残すというところが、一番このプロジェクトの意義じゃないかと」

 齋藤和輝さんは、全国の博物館の展示品を3Dモデル化するなどの取り組みを進めています。

 マリンパークの閉館をニュースで知り、「ありし日の姿を残しておくべき」だと考えました。

 行き着いた結論は、建物を含めた水族館をまるごとバーチャル空間に「移転」することでした。

 路上博物館理事・齋藤和輝さん:「バーチャル空間上に水槽の枠の3Dモデルがあって、枠の中に動画の画面を置いている形になります」

 では、水槽をのぞいてみましょう。

 こちらにいるのはアジやハゼ。右の底にいるのはオコゼでしょうか。

 地元、相模湾の魚が暮らしています。

 口をパクパク。海の番人「ウツボ」です。

 ふわふわ漂っているのは、そう、クラゲ。海水浴では嫌われ者ですが、その姿には癒やされます。

 そして、よく見ると、水槽のガラスにリアルな人影が映っています。

 泳ぎ回る魚たちは、マリンパークがまだ営業していた頃に邪魔にならないようにして撮影したものなのです。

 そして、こちらは京急油壷マリンパーク、最後の営業日に行われたイルカショー。

 終わった後も拍手は鳴り止まず、お客さんにとっても、スタッフにとっても、かけがえのない思い出の一コマです。

 今回、こちらの階段を降りた先でなんと、その時の様子を見ることができるのです。

 着きました。こちらが移転先の会場です。

 あのイルカショーのフィナーレは、どのように再現されているのでしょうか。

 今か今かと待つ記者。振り返ってみると、案内板が見つかりました。

 路上博物館理事・齋藤和輝さん:「あの空間って、ショーがあって完成する空間だなと思っていて、ただバーチャル化しただけだと、寂しいというか思い出と離れてしまう。ショーの動画をあそこで流すというのは、やらねばならぬみたいな気持ちで」

 思い出の再現という難題。

 齋藤さんが「やらねばならぬ」と決意を持って選んだのは、来館者に動画の再生ボタンをクリックしてもらい、つかの間、現実世界に戻ってもらうという方法でした。

 京急電鉄広報担当・正岡由衣さん:「(Q.クライマックスがYouTube動画でしたが?)イルカショーに行くまでに降りていく階段とかもすごいスムーズに行けて、実際にイルカショーの映像が流れるというのが、すごい『新しいな』と思って、53年間、様々な人に愛して頂いた水族館の最終日の公演というものを、後世に残せるというのはすごく新しい技術になるのではと思います」

 マリンパークの元従業員・吉田淳一さん:「忠実に綺麗に魚も泳いでいて、とても感激しました。(イルカショーを)YouTubeで見ることもできたので、懐かしみながら思い出すことができました。地元の方とかの記憶に残っていければいいなと」

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