100円稼ぐのに費用1万5000円も…時代を駆け抜け開業150年“岐路”に立つ鉄道[2022/10/14 23:30]

14日で開業から150年を迎えた鉄道。時代の変化とともに、私たちの暮らしにも様々な影響を与えてきました。ただ、その進行方向は岐路に立たされています。

1872年(明治5年)10月14日、日本初の鉄道は、新橋と横浜、今の桜木町を結ぶ区間で開業しました。

その日から明治・大正・昭和・平成、そして令和と5つの時代を走り続けてきました。

鉄道は単に人やモノを運ぶだけでなく、社会に影響を与えてきました。

元国鉄職員、鉄道博物館・荒木文宏副館長:「当時の人たち“時刻”というのは、まだ認識が全くない。人々に『何時何分』“時間感覚”を与えたということ。これは大きなターニングポイント」

実は『初詣』が定着したのも、鉄道がきっかけと言われています。

しかし、その鉄道もいま岐路に立たされています。

千葉県南部にある、JR東日本久留里線、上総亀山駅。地元の学生以外はほとんど乗らないといいます。

駅前で約50年商店を営む亀田屋店主・亀田正さん(81):「(昔は)紅葉シーズンになると並んでたね。ここに400人くらい。(今は)バスがあるし、マイカーを1人1台は持ってるし」

JR久留里線の久留里−上総亀山間は、100円を稼ぐのに1万5000円以上の費用がかかる、JR東日本で一番の赤字です。

とは言え、廃線については…。

亀田屋店主・亀田正さん:「精神的にも物理的にも、絶対JRがあれば勇気がわく。未来が開けるでしょ。シーンとしてたらやっぱりダメだよ」

ただ、周囲の他の交通機関を見てみると、本数が多く、東京などへ乗り換えもなしに行くことができる高速バス。また、デマンドタクシーは、一回500円で好きな時に地域内の好きなところまで運んでくれます。

デマンドタクシーを利用する男性:「(Q.きょうはどちらまで行く?)きょうは久留里駅前の床屋さんです。列車はここ何十年も使いませんね。車の方がそりゃあ便利ですよ」

JR東日本では、こうした赤字路線が、在来線全体の3分の1に上っています。

発展か衰退か。鉄道は今後どうなるのか。

元国鉄職員、鉄道博物館・荒木文宏副館長:「日本は人口が減少していく状況にあります。鉄道は公共的な輸送機関なので、社会にどういう役割を求められているかというのをよく考え、色んなやり方を決めるということになる」

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