遺族「医療体制の改善を」15年間で外国人17人死亡… 国連が入管施設に“改善”勧告[2022/11/04 23:30]

日本国内の入管施設では、この15年間で17人の外国人が亡くなっていることが分かっています。

こうした状況を受け、国連は日本政府に対し、改善を図るよう勧告しました。

国連人権委員会・サンシン副委員長:「私たちが懸念を何度も示しているため、この勧告を真剣に検討していることでしょう」

国連が、特に問題視しているのは、収容期間に期限がない、医療面での対応など、日本の入管施設における収容者の扱いです。

国連人権委員会・サンシン副委員長:「日本は、すべての収容者が必要な医療を受けられるようにすべき。非常に明確な勧告です」

日本に対し、政府から独立した『人権機関』の設立を求めました。

現在、全国に17カ所ある収容施設。最近では、去年3月、名古屋市の入管施設で、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が、亡くなったケースが、国内外で大きく取り上げられました。

体調悪化を訴え、仮放免の申請を行いましたが、認められず、また、ウィシュマさんは、点滴投与を求めましたが、その希望も聞き入れられませんでした。

遺族は、国に約1億5600万円の損害賠償を求め、提訴しています。

国内の入管施設で亡くなった人の多くは、自殺か病死です。

収容者への対応については、死亡した以外のケースも含め、各地で問題となっています。

裁判のため、日本にとどまっているウィシュマさんの遺族は、期待を寄せています。

ウィシュマさんの妹・ワヨミさん(30):「国連の勧告はうれしいです。他の人の命も姉のように失ってほしくないと、私たち家族は思っています。この時点で国連が真剣に考えて下さり、とても感謝しています」

ウィシュマさんの妹・ポールニマさん(28):「日本語ではなく、自分たちの言葉が話せる人を通してほしい。特に病気の場合は、その必要性が高い。医療体制を含め改善されるべきだと思います」

ウィシュマさん一家の弁護を担当する指宿昭一弁護士は、日本の入管の問題点をこう指摘します。

入管の問題に詳しい、指宿昭一弁護士:「そもそも収容や(強制)送還について、裁判所のチェックが入っていない。長期間いくらでも収容できることを、すべて変えていく必要があると思います。そして、収容しているからには、その人の命と健康を守る責任があるのに、それを果たしていない」

国連の勧告について、日本政府の反応は…。

葉梨法務大臣:「勧告があったことは、私も承知しております。国連の勧告というのは、指摘としてしっかり受け止めるわけですけど、現段階においては、個別法によるきめ細かな人権救済で対応していきたい」

入管の問題に詳しい、指宿昭一弁護士:「法務大臣が『勧告を受け止める』と言った。これは良いことだと思います。『受け止める』が言葉だけにならないよう、受け止めてしっかり改革する、これを実際にやってほしいと思います。個別法による対策と言っていますが、制度自体に問題があるので、制度の改革もしなければならない」

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