「南極で髪切ります…」めざせ美容師!“理髪研修”とは?【南極観測隊】[2022/11/19 10:30]

テレビ朝日 南極取材班の吉田遥と神山晃平です。

私たちの南極への旅は、11月11日に始まりました。南極地域観測隊に密着取材するため、東京から観測船「しらせ」に乗り、太平洋を南下する船旅を続けています。

南極に行くために、これまで隊員は、さまざまな準備をしてきました。
寒冷地に慣れるための雪山訓練、何十項目もの身体検査、救命救急講習、コロナを南極に持ち込まないための完全隔離生活…。

なかには、一風変わった準備風景もありました。
美容師さんに髪の切り方を学ぶ「理髪研修」です。
      
■「理髪係」が悪銭苦闘…カット、カラー、パーマも!

南極には、理髪店はありません。長期滞在する越冬隊員は自分たちで髪を切る必要があるため、隊員の中から「理髪係」が任命されます。

出発前、そろって資生堂の美容専門学校に出向き、カットやパーマなどの基本的な技術を半日かけて学びました。

講師「まずカットのほうからやっていきます。ハサミの持ち方とか櫛の使い方とか、髪の扱い方とかですね。あと最後は、少しバリカンでの刈り上げもやってみようと思います。その後、パーマの巻き方、カラーの塗り方をやっていきます」

美容学校の学生が2年間かけて学ぶ内容を、わずか3、4時間という短い時間で体得しなければなりません。特に男性隊員は、慣れない長い髪の扱いに四苦八苦していました。

通信担当の戸田仁さんは「いやーなかなか難しい。緊張します。」と真剣な表情。長い髪を切るのは初めての経験です。「昭和基地でも切れそうですか?」と聞くと、「なんとかやってみたいと思います。最初は“あまり気にされない方”から…。」

理髪係には自ら手を挙げたそうです。「(日本に)戻ってきてもやれるかなあと思って…」と理由を明かしてくれました。

モニタリング担当の瓢子俊太郎さんも「ハサミの使い方が難しいですね」と困惑顔。やはり女性の長い髪を切るのは抵抗があるようで「女性隊員を突然切るのは申し訳ないので…笑。若手(男性)から攻めていきたいと思います。」

チームを率いる「理髪係長」に任命されたのは、医師(産婦人科医)の井上彩さん。

「手術で使うハサミとは、持ち方も、動かし方も違う。ちょっと小さいのでやりにくいです。」初めて扱うハサミに悪銭苦闘しながらも、徐々にコツをつかんでいきます。

人の髪の毛は1か月で約1センチ、越冬すると約1年半なので10〜15センチ伸びてしまいます。昭和基地では余興が少ないので、過去には思い切って丸刈りにした女性隊員や、好きな色に染めたり、長髪にして束ねる男性隊員もいたそうです。

私たちも南極で髪が伸びたら、この“理髪係”の皆さんにお世話になります!

こちらも読まれています