西郷どんの「上野の山」と不忍池 2つを結んだ動物園モノレール 間を縫った都電跡[2022/11/25 18:00]

上野の山にへばりつくように建っていた西郷会館とその右手前が上野松竹デパートです。
どちらも屋上が上野公園と同じ高さになっています。
1971年、昭和46年夏、パンダ来日の1年前です。
ヘリコプターが回り込んでくると、西郷さんの銅像です。
この西郷隆盛像、高村光雲の作ですが、連れている犬「ツン」は後藤貞行が作りました。
西郷さんの目はどこを見ているのか、空から見てみると、やや下に向けられているように見えます。

ヘリは不忍池へ。弁天堂です。
右手前の細い橋が弁天橋。
この橋より手前が上野動物園の西園です。
不忍池分園とか水上分園とか呼ばれていました。
こちらにも島がいくつかあります。
その一つに寄っていくと、ペリカンが集まっています。
不忍池の中でも「鵜の池」と呼ばれる部分です。
ペリカンが大きく羽ばたくと、別の茶色い鳥が滑走して飛び立とうとしています。
カルガモでしょうか、カワウでしょうか。

動物園の西園と東園を結んでいるモノレールが見えます。
日本で最初に開業したこのモノレール、正式名称「上野懸垂線」は、
東京都交通局が運営するれっきとした交通機関です。
見えているのは、1967年から使われている二代目です。
老朽化のため、四代目を最後に2019年から運休しています。
3か月前に廃止されたばかりの都電の軌道を越えます。
徒歩で東と西を結ぶ「いそっぷ橋」です。

上野東照宮を越えて東園に入り、サル山が見えてきました。
1932年に完成して以来、ずっとここにあります。
オモテがあればウラもあるのが道理というものです。ないと逃げられちゃうのかも。
サルが橋を渡っていきます。
手前は池もついたゾウ舎、動物園のお隣、東京藝術大学建築学科の設計で1968年7月に建てられました。
奥はシロクマ、手前はアシカ。
アシカの姿が見えますね。

そんな上野動物園の敷地内に、なぜか五重塔が建っています。
もともと上野東照宮のものでしたが、明治の時代に寛永寺のものになり、戦後、東京都に寄付されました。
その五重塔、足場が組まれて修理中です。

この空き地に今は「パンダのもり」があります。

動物園になっている「鵜の池」を越え、手前はボート池、奥は蓮池です。
明治の時代、1884年から10年足らずの期間、
不忍池で競馬が開催されていました。
池の周りを一周する1600メートルほどのコースを作り、
今の動物園西園のところも池だったのを埋め立てて、観覧席を設けました。
西洋に倣った高級社交場として作られ、馬券の発売は禁止されていました。
それが原因かどうか、長続きしませんでした。
そんな歴史も見つめてきた弁天堂です。

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1962年、開園80周年を迎えた上野動物園です。
ロールスロイスに乗って到着したのは昭和天皇・香淳皇后のお二人です。
陛下がにこやかにあいさつされたのは、チンパンジー。
なんと腰に二丁拳銃の“完全武装”でした。
現れた初代のモノレールに乗っているのも、もちろん両陛下です。
モノレールのレール下で、今度はフラミンゴがお出迎えです。

ジャイアントパンダのカンカンです。
1971年11月、今度は昭和天皇お一人で、パンダと対面です。
カンカン、恥ずかしがっているようにも見えます。
こちらは二代目モノレール、陛下が乗られているはずなのですが…。
不忍池で、鳥たちについて説明を受けられます。

運転台うしろからのバックショット。
1985年4月2日、新装開業した三代目です。
大きな窓が特徴です。
初代は「H形」、二代目は「M形」と呼ばれましたが、
この三代目は「30形」と、数字で呼ばれました。
芸大建築学科設計のゾウ舎です。ゾウもいます。

2019年10月31日
モノレールの四代目、「40形」です。
20年近く働き続けて老朽化が激しく、この日で引退です。
モノレールの運行自体もこの日で休止、ラストランです。
公道を横切って行きます。
この部分があるので、このモノレールは遊戯施設ではなく、鉄道なのだとか。
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リポーター:ちょっとこう色が変わっている部分もありまして、歴史を感じますねえ。

司会:駅長、準備はよろしいでしょうか。
駅長:出発進行。
 <発車ベル>
リポーター:最後のベルが鳴らされました。
司会:それでは上野動物園モノレール40形のラストランです。いってらっしゃい。
リポーター:感謝の気持ちに包まれながら、盛大な拍手の中、ラストラン出発です。
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その後いろいろ検討されていますが、
「懸垂線」として復活することは難しそうです。

今年、2022年6月の上野動物園です。
不忍池の上にモノレールの施設が見えます。
東園に寄っていきます。
画面左下が、モノレールの駅です。
「サル山」と「ホッキョクグマとアザラシの海」です。
かつての「アシカ池」がアザラシに変わっていますが、実際にはアシカもいます。
「ホッキョクグマの海」も「アザラシ・アシカの海」も
屋外からだけでなく、水族館のように屋内から見ることもできるようになりました。

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