《氷に突撃》南極観測船ふじ・しらせ砕氷記 分厚い氷を割り開き…押し砕き…奮闘中![2022/12/02 18:00]

1977年から翌78年にかけて南極の昭和基地まで往復した海上自衛隊の南極観測船「ふじ」です。
昭和基地を目指して南下し、南緯55度を越えると氷山と出合います。
氷山が次から次へと現れる海域を縫うようにして進みます。

さらに南下し、流氷域に進入します。
この海域では、「ふじ」の推進力で氷を割り開く「連続砕氷」をしながら進みます。
船を前後に揺らす方法もあります。
厚さ1メートルちょっとまでなら、この方法で進めます。
着艦するヘリコプターの後ろに割り開いた航跡が残っています。

いよいよ定着氷域、分厚い氷の海です。
  <操船号令の声>
前進ではなく「後進」の合図でバックし始めます。
連続砕氷では進めないので、「チャージング」、最近では「ラミング」と呼ばれる方法に切り替えました。
これ以上は進めないところから、いったん後ずさりします。
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
両舷停止の合図がかかり、左右の機関を止めますが、船はすぐには止まらず、都合数百メートル後退します。
これまでに切り開いた海面が見えます。
すぐに塞がってしまいますが。
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
スクリューは止まったようです。
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
前進の合図と入れ替わるように船が止まりました。
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
船が前へ進み始めました。
  <操船号令の声>
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
ジグザグに進みます。
  <操船号令の声>
  <復唱する声>
勢いをつけて氷へ突進です。
  <ふじが氷を押し割る音>
「ラミング」あるいは「チャージング」と呼ばれるこの航法、
船の重みと加速スピードで氷に乗り上げ、押し割るという方法です。
1回のラミングで進める距離は、多くの場合、50メートル以下です。

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「ふじ」の後を継いで就役した初代「しらせ」です。
流氷の海を進みます。1997年12月です。

南極大陸です。
定着氷域に入りました。
 <操船号令の声>
 <復唱する声>
 <操船号令の声>
 <復唱する声>
 <操船号令の声>
 <復唱する声>
「チャージング」が始まっています。
一度、割り開いた氷の海をバックし、一転、前進です。

先代の「ふじ」は1.5メートルの厚さを砕氷するのが限界でしたが、昭和基地周辺の氷は、4メートル以上の厚さの氷に出合うこともあるといいます。
そこで初代「しらせ」は1.5メートルまでなら連続砕氷できるように設計され、実際、悠々と進んだそうです。
昭和基地が近づいてきて、もっと氷が厚くなるとチャージングが必要になりますが、「しらせ」の力は3万馬力。
「ふじ」の2.5倍にパワーアップされています。
その威力をいかんなく発揮します。

「しらせ」が氷に衝突する瞬間です。
 <しらせが氷を押し割る音>

船全体が激しく揺れるほどです。
ふたたびバックします。

昭和基地に届ける物資や装備は年々大型化、ヘリコプターで空輸するには限度があります。
雪上車で氷の上を長距離運ぶのも危険を伴います。
そこで、なるべく基地の近く=氷の厚い海域まで船で運ばなくてはなりません。
それまで南極観測では、4回に1回しか昭和基地近くに接岸することができませんでしたが、初代「しらせ」は、25回のうち24回で接岸に成功しました。

そして前進。
基地がだいぶ近づいてきました。

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