【安倍氏銃撃】“刑事責任能力あった”山上容疑者を移送 「罪を償いたい」[2023/01/10 18:40]

 安倍元総理を銃撃したとして逮捕された山上徹也容疑者(42)の鑑定留置が終了し、身柄が大阪拘置所から奈良西警察署に移送されました。勾留期限の13日までに殺人罪で起訴される見込みです。

 しっかりとした足取りで車を降りた山上容疑者。少しふっくらしたでしょうか。紺のパーカーに眼鏡姿、伸びた前髪とマスクでその表情はうかがい知れませんが、顔を隠す素振りはなく、まっすぐ前を向いて歩いています。事件から約6カ月、今月10日に山上容疑者の刑事責任能力の有無を詳しく調べるための鑑定留置が終わり、警察署に移送されました。

 約半年前の去年7月、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の応援演説中の安倍晋三元総理が銃で撃たれて死亡した事件。検察は去年7月から山上容疑者の精神状況を調べるために鑑定留置し、精神鑑定を行っていました。当初は去年11月下旬までの予定でしたが、検察が延長を申し立てるなどして約1カ月半延長され、今月10日が期限となりました。逮捕直後、容疑を認めていた山上容疑者。現在の心境について、関係者にこう話しているといいます。

 山上徹也容疑者:「罪を償って人のためになることを行いたい」

 罪を償う…。事件に対する贖罪(しょくざい)の気持ちがあるのでしょうか。一方で、事件について関係者に対し、こうも話しているといいます。

 山上徹也容疑者:「やるべきことをやった」

 事件前、山上徹也容疑者が書いたとみられる手紙。フリーライターの男性に届きました。そこでは山上容疑者とみられる人物が旧統一教会に恨みを募らせるに至った経緯がつづられていました。

 山上容疑者が書いたとみられる手紙:「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産。この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は、私の一生を歪ませ続けたといって過言ではありません」

 殺害された安倍元総理については…。

 山上容疑者が書いたとみられる手紙:「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある(旧)統一教会シンパの1人に過ぎません。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、もはやそれを考える余裕は私にはありません」

 事件当時、数十万円の借金があったという山上容疑者。逮捕後、山上容疑者はこのような主旨の供述をしていたといいます。

 山上容疑者:「仕事を辞めて所持金が尽きた。死ぬ前にやろうと決心した」

 事件の背景には生活苦もあったのでしょうか。警察は経済的に苦しくなったことが犯行の決意につながった可能性もあるとみています。半年近く行われた鑑定留置が終わり、検察は刑事責任能力があったと判断して拘留期限の13日までに殺人罪で起訴する方針です。

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