“迷い鯨”が注目集める中…日本の海に異変?「北上する大型サメ」温暖化による歪みか[2023/01/16 00:00]

大阪湾の淀川河口に迷い込み、注目を集めたクジラ。
近年、日本近海では海洋生物の異変が相次いで報告されています。
このような大型のサメも本来の生息域から北上。漁業に深刻な被害も出ています

▽淀川河口にクジラ…瀬戸内海には大型サメ
9日、大阪の淀川河口で発見された、体長15mのマッコウクジラ。おととい13日、専門家らの調査で死んでいるのが確認されました。専門家は何らかの理由で群れから離れ迷い込んでしまったとみていますが、いまだ詳しい理由などはわかっていません。
今、日本の海では、異変が起きています。
きょう15日、鳥取県・岩美町の海岸には深海に生息するダイオウイカが漂着。体長は3.2mに及びました。さらに去年6月には、同じ岩美町でリュウグウノツカイも。
(池川泰介リポーター)「これですね。すごい量のフグですね」
砂浜に打ち上げられていたのは大量のフグ。さらに近年、問題となっているのが…サメ。
こちらは去年5月、瀬戸内海で、漁の網にかかっていたところを捕獲された、体長およそ4mのホホジロザメ。映画「ジョーズ」のモデルになった、人を襲うこともある獰猛なサメで、瀬戸内海でホホジロザメが現れるのは珍しいことだといいます。
沖縄では、海水浴場に2mを超えるサメが。釣り人の針にかかったというこのサメ。およそ1時間の格闘の末、最後はロープを使い、釣りあげました。この辺りでは、サメの目撃情報が相次いでいたといいます。
鹿児島県・奄美大島。こちらも近年、サメの被害に悩まされるようになりました。
(奄美サーフィン連盟 別府秀和さん)「ここがサメが出た海岸。2mくらいのサメが3匹。」
浅瀬に打ち上げられたクジラの死骸にサメがよってきたといいます。
(別府秀和さん)「普段いないのに浅瀬までよってくるという例がちらちら目撃はされているみたいですね。防災無線が龍郷町にあって『サメに注意してください』と」
ここは全国的にも有名なサーフスポット。サーファーや旅行客も多く、観光への影響も懸念されています。

▽「サメが養殖用の網を…」漁業に深刻被害
さらに深刻な被害に悩まされているのが…。
(漁師 諏訪原清高さん)「漁業は成り立たない。養殖場の網まで噛んだり、サメは浅瀬でもどこにでもいるから」
ここ数年、サメの被害により、漁獲量も大きく減っているといいます。
網を引き上げてみると…。
「サメおるよ」
さらに
「またサメや」
この日は、3匹のサメが網にかかっていました。このサメは人をおそうこともあるイタチザメやメジロザメ。日によっては体長4〜5m、300kg級のサメがかかっていることもあるそうです。
(諏訪原さんの妻)「サメはあちこちから来る。前はこんなにいなかった。」
Q. 網を食べていますね?
「だから破ける」
サメは他の魚を食べてしまうだけでなく、このように仕掛けた網も食いちぎってしまうため、漁業に大きな被害を与えているといいます。

奄美大島では漁業関係者などから、サメの被害を訴える声が多く上がったため、国の助成金を活用し、サメの駆除を行っています。
(サメの駆除を行う すみよう漁業集落 田中義人代表)「これ以上、増やさないような感じでサメを駆除したいと。魚は減っちゃうし、釣りに行ってもサメがいますから、漁師はもうほとんど被害で漁業が成り立つということは難しくなっている。」
なぜ、サメの被害が増加しているのでしょうか、専門家は。
(サメの生態に詳しい北海道大学名誉教授 仲谷一宏氏)「温暖化でしょうね。温暖化しか考えられないです。温暖化によって、南にいるサメが上がってくるというのは十分考えられる。やっぱりエサを求めていうこと、彼らが来るのは。」
仲谷教授は、温暖化で海水温が上昇し、エサとなる魚の生息域も変わってきたことで、つられるようにサメも北上してきた可能性があると指摘します。
Q. 海水温は高い?
(奄美海洋生物研究会 興克樹会長)「そうですね。例年より1℃から1.5℃くらい高い状態です。」
奄美大島でサンゴ礁の保全や海洋生物の生態について調査を行っている興克樹さん。
興さんは、急激な温暖化に対して、対策を進めた上で、さらに我々も環境に合わせなければいけない段階にきていると指摘します。
(奄美海洋生物研究会 興克樹会長)「環境が違うと、そこで生きられないものを無理に戻そうとしてもなかなかうまくいかない場合もあるので、そこの環境に適したものを色々考えていかなきゃいけない」


1月15日『サンデーステーション』より

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