週末の寒波襲来を歓迎? 北の観光地は準備急ピッチ[2023/01/18 18:19]

 18日朝、北日本では冷え込みが強まり、今季一番低い気温を記録する地点が相次ぎました。巨大な樹氷「アイスモンスター」にアイスウォール、週末からの寒波を前に準備に追われる観光地を取材しました。

 週末、再び大雪が予想される北日本。秋田県のスキー場では、ある異変が起きていました。辺り一面非常に視界が悪くなっていて、スキー客が滑っていますが、すでにぼんやりとしか見えない状態になっています。標高1454メートルの「森吉山阿仁スキー場」です。例年、この時期に現れる自然現象があります。雪原に広がるのはアイスモンスターと呼ばれる巨大な樹氷です。その高さは最大で10メートルにも及びます。ここ森吉山は山形県の「蔵王」、青森県の「八甲田山」に並ぶ「日本三大樹氷」の一つとして知られています。

 壮観なアイスモンスターを間近で見ようと、毎年スキー客がこぞって訪れていました。

 オーストラリアからの観光客:「私は『スノーモンスター』と呼んでいる。『スノーゴースト』ともね。ここや八甲田山は美しい雪の景色がたくさんあります」

 海外からも注目されている日本の樹氷。ところが、今シーズンは…。

 阿仁スキー場樹氷ガイド・木村望さん:「(先週は)ここでも気温が4℃くらいになったので、どんどんとけちゃって雪もだいぶ下がった」

 現在、雪の付き具合は3割ほどだといいます。樹氷を見に来た人たちは…。

 樹氷を見に来た人:「もっと氷や雪で真っ白かと思ったら結構木の形が…」「毎年来ているが今年の樹氷はあまりよろしくない」

 警戒が必要な週末からの寒波を前に、スキー場のスタッフは複雑な心境です。

 阿仁スキー場樹氷ガイド・木村望さん:「寒気が来た方が樹氷は付くので、もっと育っていく。樹氷は良いが風が強くなり過ぎるとゴンドラが止まってしまうので、そもそも見に来ることができなくなるのでバランスが難しい」

 一方、北海道の観光地では寒気を利用し“氷まつり”の会場を設営しています。高さ10メートル、巨大な“アイスウォール”など様々な氷のオブジェが作られています。北海道千歳市の支笏湖。今月末から始まる氷まつりに向けた準備です。コロナ前は例年27万人が訪れていた冬限定の人気イベント。しかし、コロナ禍での開催は人数を制限し、来場者は5万人に激減しました。夜は氷がカラフルにライトアップされ、ファンタジックな世界に様変わり。「氷の美術館」と呼ばれています。18日は最低気温がマイナス9.9℃。氷を作るには、うってつけです。

 支笏湖まつり実行委員会・小林典幸さん:「気温が低い時は、常に氷を成長させるのにひたすら散水ノズルを動かすのみ」

 湖から吸い上げた水を吹き付け、凍らせます。その日の天候に左右されるため、難航していました。

 支笏湖まつり実行委員会・小林典幸さん:「ここ数日、暖かい日が続いて、せっかく付けた氷が1回とけてしまった」

 日が暮れてからはスタッフが入れ替わり、24時間体制で作業を続けています。

 支笏湖まつり実行委員会・松澤直紀さん:「(Q.氷の塊がポールに付いている?)氷像は凍らせたいが、道具が凍ると氷像になってしまうので、全部落としてちょっとだけ(水を)掛ける場所を変えながら」

 夜はマイナス10℃を下回ることも、しばしば。

 支笏湖まつり実行委員会・松澤直紀さん:「霧が付着した所は服もガチガチに凍っていく」「(Q.すぐに衣みたいに凍っちゃうんですね?)帽子も、もうかぶれない。ベルトも水を含んで膨らんでいるので取れない。マイナス5℃以下にならないと、なかなか凍らない。僕らは大寒波が来る方が助かるので世間とは逆」

 過酷な気候条件のなか、夜を徹して点検や調整を続けます。

 支笏湖まつり実行委員会・松澤直紀さん:「ホースが折れていたり何かの拍子でポキッと折れてしまうと水が止まる。そしたらここから先は全部凍ってしまう。何回もあるがそうなったら交換する。水がしっかり掛かっている所は滝みたいになってどんどんつららが伸びていく」

 急ピッチで準備が進められている北海道の氷まつり。巨大なアイスウォールの中は驚きの光景が…。幾重にも連なるつらら。氷の建物を頑丈に作るために必要だと言います。

 支笏湖まつり実行委員会・松澤直紀さん:「ここは人が通らない場所なので下までズドンとつららが付けば、支柱になって強度が増すのでどんどん(下に)伸ばしていく」

 2時間ぶっ通しで作業した後、ようやくプレハブ小屋で休憩。まず最初に行うのがベルトにお湯を掛け、氷を溶かします。

 支笏湖まつり実行委員会・松澤直紀さん:「これでやっと脱げる」

 2時間の休憩をはさみ、再び作業へ。このサイクルを朝まで繰り返します。スタッフは普段、アウトドアガイドなどを務めていて、二足のわらじで奮闘しています。

 スタッフ(25):「次は(深夜)12時くらいに見回りに行くので、なかなか眠たい」

 氷まつりは今月28日から始まります。

 支笏湖まつり実行委員会・小林典幸さん:「苔(コケ)の洞門という松の葉を貼り付けたきれいな回廊が今年3年ぶりに復活しているのでぜひ見に来てもらえればと」

 真冬の寒さに近付くなか、外国人観光客が殺到する場所が…。彼らの目当てはモクモクと立ち上がる噴煙、北海道登別市の「地獄谷」です。谷に沿って数多くの噴出口や噴気孔があり、泡を立てて煮えたぎる風景から「鬼の住む地獄」と呼ばれていたのが、その名の由来だといいます。

 アメリカから来た新婚夫婦はハネムーンで日本へ。最低気温はマイナス7.7℃と冷え込むなか、なぜ旅先にこの地獄谷を選んだのでしょうか。

 アメリカから来た夫婦:「検索して知るまで僕は聞いたことがなかった。妻が見つけて」「温泉を探していたら登別温泉の情報が出てきた」

 日本有数の温泉地「登別温泉」の源泉で、一日1万トンもの温泉が湧出しています。泉質の種類が豊富なことから「温泉のデパート」とも呼ばれるほど。

 フランスからの観光客:「とてもすてきですね」「美しいです」

 韓国人男性はユーチューブの登録者が8万人以上いて、日本の名所を紹介しているといいます。

 韓国からの観光客:「日本を3カ月旅します。日本のことを知りたい韓国人の多くが登録してくれています」

 地獄谷の近くには「天然の足湯」があります。川に温泉が流れ込んでいるため、冬場も素足を入れて温まることができます。

 台湾からの観光客:「すごく良いね!ここを紹介しているユーチューブを見て来た。思ったより温かい」

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