なぜ?南極にゴミ散乱…回収し日本へ“究極のSDGs生活”南極ノート×未来プロジェクト[2023/02/01 23:30]

テレビ朝日は『未来をここから』プロジェクトの一環で、気候変動問題などSDGs企画をお伝えします。

テレビ朝日が同行する南極観測隊。南極の環境を守るために、隊員たちに求められるのは“究極のSDGs”生活です。

例えば『電力』。暮らしの中で節電は当たり前。今年からは、強風にも強いと言われる風力発電機が導入されました。

第64次南極地域観測隊・樋口和生越冬隊長:「この辺り一帯が再生可能エネルギーゾーンです」

昭和基地では、発電の大部分を依然、石油に頼る一方で、再生可能エネルギーへの移行が期待されています。

生活で出てしまう『排水』は、トイレや料理など汚れた水をそのまま捨ててしまうと環境汚染になってしまうため、昭和基地では微生物を使って分解し、汚水処理を行い、綺麗な水にして海に流しています。

そして南極観測隊が今、環境保護のために抱える大きな問題が『ゴミ』です。

昭和基地に暮らす総勢70人の隊員たち。もちろん日々、ゴミも出てきます。

『報道ステーション』ディレクター・吉田遥さん:「今からゴミを捨てに行きます。昭和基地では、かなり細かく分別しないといけない」

東京であれば、燃えるゴミや瓶や缶など10種類ほどのゴミの分別。しかし南極では、約30種類に分別しています。全ては環境を守るためです。

吉田遥さん:「これはガラス瓶専用の機械です。粉々になっています」

瓶や缶などは専用の機械で圧縮します。

第64次南極地域観測隊・金重真実隊員:「こちらが焼却炉塔の内部です。第60次南極観測隊で新しくして、それまでの能力の倍以上になって、だいぶ燃焼能力がアップしています」

可燃ゴミは約800度の高温で8時間ほど焼却。

金重真実隊員:「この中いっぱいにゴミを詰めるんですけど、最終的に灰になるのは、このくらいの量にまで減ります」

生ごみは炭にして4分の1ほどの体積にします。これらのゴミは観測船『しらせ』に乗せられ、全て日本に持ち帰ります。

持ち帰るのは、自分達が出したゴミだけではありません。

吉田遥さん:「それか!ワカメだ!ワカメってこれか。これ何ですか?」

国立極地研究所・藤井昌和隊員:「分からないですけどゴミです」

吉田遥さん:「頑張って拾いましょう」

この日行われたのは「ゴミ拾い」。

吉田遥さん:「これは何なんだ一体?」

第64次南極地域観測隊・大山まど薫隊員:「多分、道路作った時に、砂が流れないようにするためのもの」

第64次南極地域観測隊・野田豊隊員:「拾っても拾っても終わりません」

徹底したSDGs生活をしていても、昭和基地の周辺にはゴミが散乱しています。

それは、かつての隊員たちが残していった物。

テレビ朝日記者・カメラマン、神山晃平さん:「この辺りの土の色が変わっていて、何かを焼いたような跡になっています。その中にさびた金属片が残されています」

1997年に環境保護に関する法律が制定されるまで、南極では、使われなくなった機材や車両などは、そのまま廃棄したり、地中に埋めたりしていました。

神山晃平さん:「うぉーなんだこれ。タイヤだ。大きいな。今、埋め立て地からかなり大きなタイヤが出てきました。すごいでかい。なんだこれ」

当時使われていたゴミの埋立地は、深さ約4メートル、体積にして5496立方メートルにもなります。

今、この膨大なゴミを、全て日本に持ち帰る計画が立てられています。

第64次南極地域観測隊・塩原大晟隊員「(Q.長くかかりそうですか?)今後、全量掘削となると、もっと日数と重機と人手がかかってくるので、計画的にやらないといけない」

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