刑務所に服役していた男性が死亡したのは「刑務所が適切な処置を怠ったため」などとして遺族が国などを訴えていた裁判で、国が4300万円の賠償金を支払うことで和解が成立しました。
訴状などによりますと、ロックバンド「FOOLS」のボーカル伊藤耕さん(当時62)は2015年に覚醒剤取締法違反で懲役2年10カ月の判決が確定し、北海道にある月形刑務所に服役していました。
しかし2017年、腹痛を訴えた翌日の深夜に心肺停止で救急搬送され、腸閉塞による出血性ショックで死亡しました。
伊藤さんの妻は「刑務所内の診療所で行った検査結果などから医師が適切な診断を受けられるような措置を取っていたら死亡することはなかった」などとして、国などに約4320万円の損害賠償を求めて裁判を起こしていました。
妻は今月6日に会見を開き、国が4300万円の賠償金を支払うことで和解が成立したと明らかにしました。
妻の代理人弁護士は、賠償金が求めていた金額に近いことから「国が責任を全面的に認めたことを示している以外に考えられない」と述べました。
和解を受けて法務省矯正局は「今後とも被収容者の健康管理には万全を期するとともに、適切な医療の実現に努めて参りたいと考えております」とコメントしています。
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