HPVワクチン副反応研究に「欠陥」 近大[2023/02/08 23:00]

 子宮頸(けい)がん予防のためのHPVワクチンに含まれる成分が神経系の副反応を引き起こすとする複数の基礎研究について、近畿大学の研究チームが「欠陥がある」として否定する論文を発表しました。

 近畿大学医学部の松村謙臣教授らは、子宮頸がん予防のHPVワクチンの中で「アジュバント」と呼ばれる免疫を活性化する成分に含まれるアルミニウムに着目しました。

 先行研究では、接種後にこのアルミニウムが「神経症状を引き起こす」とされています。

 松村教授らの論文では、先行研究はアルミニウムを含むワクチンの接種後に症状がなかった人の筋肉組織を採取した検査がされておらず、接種による影響か比較できないことなどから「科学的な妥当性に欠ける」としています。

 また、ワクチンに含まれるアルミニウム量は少なく「アルミニウムそのものによる全身への有害事象が生じるとは考えられない」などとして「欠陥がある」とまとめています。

 また、アジュバントを注射することによって自己免疫反応が誘導されるとする先行研究についても実験の手法などで「複数の欠陥がある」と指摘しました。

 これまで、アジュバントの有害性を指摘する研究がHPVワクチン接種後に生じる神経系の症状と結び付けられてきたことから、松村教授らのチームは「今回の研究成果はHPVワクチンの安全性を示すもの」としています。

 論文は、がん研究などの学術誌のサイトに掲載されるということです。

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