闇バイトの逮捕者「警察のサルベージ能力強い」消えたはずのテレグラム“データ復元”[2023/02/12 23:30]

全国で相次いだ連続強盗事件、その全貌はいまだ明らかになっていません。
フィリピンから送還された容疑者4人の取り調べが進められる中、全容解明のカギを握るのがスマートフォンの解析です。
番組はかつて特殊詐欺に関わり、「消えるSNS」を使って指示役とやりとりしていた人物に話を聞くことができました

▽容疑者4人黙秘…カギは“消えるSNS”解析
フィリピンを拠点とした特殊詐欺に関わった疑いで逮捕され、送検された4人の容疑者。雑談には応じるものの、事件については完全黙秘しているといいます。
捜査のカギを握るのは、4人が所持していた15台のスマートフォンやタブレット端末などの解析です。今回の一連の強盗事件で「ルフィ」などと名乗る指示役が使っていたのは、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」。時間が経つとメッセージや画像などが自動消去される機能もあり、復元が難しいとされていますが…

▽「履歴すべて出た」元実行役の“復元されたやりとり”
(特殊詐欺で実刑判決を受けた男性(30代))「警察に携帯を押収されて(テレグラムの)履歴がすべて出たというところなので、現実的に(復元は)不可能ではないだろうなと」
Q. テレグラムのやりとりは全部復元?
「すべてですね」
こう話すのは、3年前、2件の特殊詐欺事件で逮捕され1年8カ月の実刑判決を受けた東海地方に住む30代の男性です。
(特殊詐欺で実刑判決を受けた男性(30代))「いわゆる『受け子』『出し子』というこの2点で、詐欺未遂と詐欺というところで逮捕ですね。手軽にお金を手に入れる方法はないかという取り急ぎですね。若いころの過ちもいろいろあって魔が差したんでしょうね、闇バイト探して…」
「犯行グループのリーダーは東南アジア」にいて、「指示役の男性は北海道出身」だと話していたといいますが、今回の一連の強盗事件との関係性はわかっていません。男性が指示役からまず言われたのが…
(特殊詐欺で実刑判決を受けた男性(30代))「会話の記録が残らない、そういったツールアプリがあるからこれをまずテレグラムを入れさせられます。(指示役から)これはあくまでメッセージのやりとりがサーバー上に一時的に残るもので自動的に削除の設定がある。30秒したら全部サーバーから消える、だから話したことは一切わからないから現行犯で捕まりさえしなければ、しらを通しきれるからと言われていました」
特殊詐欺の手口は、高齢者からキャッシュカードを奪い、現金を引き出すというものだったといいます。
結局、2件目の犯行の途中に逮捕された男性。テレグラムのメッセージは自動削除されていて男性はアプリも削除していましたが…
警察は押収した携帯電話からすべてを復元。そこには、指示役と交わした生々しいやりとりが残されていました。
(指示役)「タクシーでいけますか?板2枚 振り込み完了したら教えてください。」
「板2枚」とは「キャッシュカード2枚を受け取れ」という意味だそうです。
「客宅周囲確認しました」
(指示役)「了解 安全確保 ナビ履歴消去 ロケーション履歴消去お願いします。」
「客宅前の通りからパトカー、すこしきょりとっていいですか?」
(指示役)「ウロウロしないでね 警戒して」
(特殊詐欺で実刑判決を受けた男性(30代))「話をしている中でテレグラムって履歴が残らないって一応聞いたんですよ。でも復元されているじゃないですか、(警察に)『どういうふうにされているんですか』って聞いたら、まあそれは答えられないけど『やってできないことはないんだ』という話をされていました。警察の方のサルベージ能力(データ復元)はより強いんだと身に染みてわかってこれは何も言い逃れできないなって」
警察が復元したのは約3週間前のデータでした。

その消されたデータの復元。成功させるために重要なのは「スピード」だといいます。こちらは都内にあるデータの復元を請け負う会社。スマートフォンのパスワードや通話や検索の履歴のほか、操作した位置情報の特定を行っていて、警視庁などの捜査機関からも依頼を受けています。
(デジタルデータソリューション フォレンジクス事業部 工藤宏将 副部長)
「復旧率は最大値で95.2%。非常に難しいものだと1カ月から半年かかるケースも」
その復元が「難しいもの」とは「機器の損傷が激しいもの」や「初期化を繰り返したもの」だといいます。
(工藤宏将 副部長)「情報が消され損傷してからどれだけスピーディーに動けるかが重要なポイント」
捜査関係者によると、今回押収された携帯電話などはすべて使用可能な状態だったということで、本格的な解析などがすでに始まっているということです。


2月12日『サンデーステーション』より

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