【侵攻1年】「薄まる関心との戦い」ウクライナ支援を続ける日本人 “支援疲れ”の現実[2023/02/25 12:30]

 ウクライナからの避難民を受け入れている隣国のポーランドで支援を続ける日本人の男性が「薄まる関心との戦い」を語りました。

 坂本龍太朗さん:「小型のポータブルバッテリーが入っています」

 ロシア軍の砲撃が今も続くウクライナ東部ハルキウへ送られます。

 坂本龍太朗さん(37)は、ポーランドのワルシャワで日本語学校を経営していて、侵攻直後から、ウクライナ避難民の支援を続けています。ところが…。

 ■「薄まる関心」に“支援疲れ”

 坂本龍太朗さん:「戦争が始まった当初は本当にたくさんの人が支援に出た。お金・労力を使って支援したわけで、“1年間”の長期化に準備ができていなかった。支援をしている人たちが支援の第一線から引いてしまった」

 延べ950万人以上の避難民を受け入れてきたポーランドでは、長期化による“支援疲れ”が指摘されています。

 ポーランド政府などは、シェルターの無償提供や補助金の支援をしてきましたが、そのほとんどが資金難などを理由に打ち切られました。

 坂本龍太朗さん:「今ウクライナの人たちが戦っているのはロシアだけではなく、冬だけではなく“薄まる関心”との戦いでもある」

 “支援疲れ”の現実を、現地で自らの肌で感じているという坂本さん。活動を支える支援金も最初の半年間はおよそ4500万円が集まりましたが、次の半年では半分以下に。先月は170万円ほどに減りました。

 坂本龍太朗さん:「魔法瓶は寒い子どもたちが温かい飲み物を手に入れられるように。1個が600円くらいと安いが、460個も買うと30万円を超える」

 ■仲間の死乗り越え 1年を記した本 収益は支援に
 
 去年9月には大切な仲間も失いました。支援物資を前線に届けていたウクライナ人の友人が、南部の激戦地ヘルソンでロシア軍の攻撃で亡くなったのです。

 坂本龍太朗さん:「友達の死も含めて多くの死に向き合ってきた。彼らの死を無駄にしたくないという気持ちが強くなっている」

 坂本さんは今月、この1年の支援の軌跡をつづった本を書き下ろしました。本の売り上げはすべて支援に充てるということです。

 坂本龍太朗さん:「こちらの小さい声、人々の声はほとんど日本に届いていない。子どもたちにこの本を読んでもらって、平和とは何か、どうすれば家族が安定して今後もふるさとで暮らしていけるのか、考えるきっかけとしてほしい」

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