「火山研究者の悲願」火山調査本部の設置を柱とする活火山法改正案を今国会に提出へ[2023/03/01 23:55]

 火山対策体制を整える法改正案が今国会に提出されます。世界的にも「遅れている」とされる日本の体制ですが、噴火予測などの研究が大きく進むかもしれません。

 火山を巡り、日本では2004年の国立大学法人化後、交付金が削減され、研究ポストも予算も縮小してきました。

 一方で、日本には世界の活火山の約1割があり、気象庁の火山監視・観測センターが24時間体制で監視している「常時観測火山」が50あるのに対し、国内の大学で火山観測に携わる教授や研究員は約40人ともいわれ、研究者が常駐する火山も少なくなっています。

 研究者からは国が前面に立ち、一元的な火山対策を行う組織が求められていました。

 2014年の御嶽山噴火をきっかけに設立された自民党の「火山噴火予知・対策推進議員連盟」は去年11月、活火山法改正ためのプロジェクトチームを立ち上げ、有識者や関係省庁・自治体から聞き取りを行ってきました。

 今月1日、火山議連の総会で法改正案の骨子が示されました。骨子には観測・調査の計画を作る「火山調査研究推進本部」を文部科学省に設置することや火山の専門人材育成や確保、1911年に日本で初めて火山観測所が設置された8月26日を「火山防災の日」にすることなどが盛り込まれました。

 火山議連会長・古屋圭司衆院議員:「火山対策は世界と比べて日本は遅れていました。これをキャッチアップし、世界で冠たる調査技術をしっかり活用して国民の皆さんの生命と安心をしっかり確保していく」

 火山研究者も改正法案の成立に期待を寄せています。

 山梨県富士山科学研究所・吉本充宏主幹研究員:「推進本部を設置して頂けるということになれば、研究者の立場で行っていく研究、国としてやっていかなければならない研究という両方から支えられ、より火山研究が進んでいく」

 気象庁の火山噴火予知連の会長を務めた石原和弘京都大学名誉教授は、推進本部の設置は「研究者の最大の悲願」としました。

 石原和弘京大名誉教授:「これは大きなターニングポイント。20世紀の活発な火山を経験した人が、もう既に退職しようとしているので、この時期が(設置の)いわば最後のタイミングだ」

 火山議連は法案の今国会での成立を目指し、2024年度から予算も確保したいとしています。

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