佐々木朗希 故郷の仲間と歩んだ12年 「引退後は…」友に誓う“地元への貢献”[2023/03/11 15:32]

岩手県・陸前高田市にも襲ってきた津波。
当時9歳だった一人の野球少年も この町で被災し、大切な家族を亡くしました。 

あれから12年。
佐々木朗希投手は、きょう、日の丸を胸に試合にのぞみます。
これまで多くを語ってこなかった佐々木投手の12年をそばで見続けた地元の友人が語ってくれました。

Q:この海岸に来たのは久しぶり?
佐々木朗希:「久しぶりですね、震災前以来ですね。キレイな砂浜ですよね」

Q:やっぱり地元はいいですか?
佐々木朗希:「いいですね」

2001年岩手県・陸前高田市で生まれた佐々木朗希投手。
兄の影響で小学3年生の時に始めた野球に熱中する少年でした。しかし…

佐々木朗希投手:
「いつ当たり前の日常がなくなるかわからない、それはすごく怖いと思ったので」

地元、陸前高田を襲った津波。
父・功太さんと、祖父母がその犠牲となりました。

家も流され、一家は大船渡に移り住みました。

■「震災に関しての弱い部分は朗希、見せなくて…」同級生が語る素顔

東 晃生さん:
「(出会いは)小学4年生の春ですごく野球がうまい子が入ってきたなという印象でした」
こう話すのは、同級生の東 晃生さん。
大船渡の少年野球時代からのチームメートです。

東 晃生さん:
「震災に関しての弱い部分は朗希、あまり見せなくて」
「僕らに気を遣われるのも、気を遣わせるのが嫌だったのかなと思います」

当時の佐々木投手の貴重な映像が残されています。
震災翌年、岩手で開催されたプロ野球オールスターゲーム。
そこに招待されたのは…。

『イェーイ』
チームメートと共に笑顔を見せる当時10歳の佐々木投手です。
野球に打ち込んだ佐々木投手は、中学時代、球速が140キロを超えるまでに。
強豪校からの誘いがあったといいますが、選んだのは…
地元・大船渡高校でした。

東 晃生さん:
「『大船渡(高校)行ってほしい?』みたいな感じで聞いてきました」
「まさか大船渡高校に来るとは思わなかったのですごく嬉しかったです」

千葉宗幸さん:
「ここまで来たのは数年ぶりですね」
「練習終わりに朗希と一緒に帰っていた道ですね」

大船渡高校の同級生で野球部のキャプテン・千葉宗幸さん。
彼も母親と祖母を震災で亡くしています。

千葉宗幸さん:
「今思うと野球をやっていてすごく助けられたなと思っていて」

「震災のことを忘れるために野球をやっていたわけじゃないですけど、知らず知らずのうちに大切な仲間が出来ていて震災のことじゃなくて、野球に集中して… 考えないようになっていたかも、しれないですね」

「みんな震災のつらいときに野球があってよかった…よかったというか…うーん。なんていうんだろう。良かったでいいんですかね、良かったと思っている人の方が多いと思います」

大船渡高校に進んだ佐々木朗希投手は160キロの快速球を投げるまでになり、その名を全国に轟かせましたが、一歩手前で甲子園出場の夢はかないませんでした。

佐々木朗希投手:
「苦しい事だったりつらいこともたくさんありましたけどこの仲間とだったから、乗り越えることができたことがたくさんあったと思うので、大船渡高校を選んで良かったなと思います」

■「朗希らしいな」佐々木朗希が出席した“2つの成人式”

そんな佐々木投手がプロ入りの際、寮に持ち込んだものは…
大船渡高校のチームメートからのメッセージ。

佐々木朗希投手:
「今までやってきた仲間の思いも忘れずに部屋に飾りたいなと思いました」

チーム名の下には、「最高の仲間より」。

2年後。
佐々木投手は、再び地元の仲間に囲まれていました。
去年、大船渡で行われた成人式です。
実はこの日、生まれ故郷の陸前高田の成人式にも出席していました。

東 晃生さん:
「朗希らしいなと思いました」
「高田小学校にいた頃の話もするので大事にしているんだと思います」

千葉宗幸さん:
「ぼそっと一回だけ震災に絡んだ話をされたことがあって
もしプロ野球選手になれたら引退とかした後は
『地元に貢献したい』みたいな話をしていたのは覚えていますね」

「みんな震災でグラウンドが使えないというのが多かったんですけど、その時に道具を支援していただいたりとか、なんとかみんなで野球できたので、そういうのを見てきたので支援とかそういう関わり方というのをしてみたいと思っているのかもしれないですね」

■東日本大震災から12年の日にWBCで先発へ 故郷の少年たちの夢を乗せて…

昨シーズンは史上最年少で完全試合を達成し、
WBC日本代表にも選出された佐々木投手。

その活躍ぶりは、地元・陸前高田の少年の胸にも焼きついています。
少年野球チームの選手:
「地元からこんな選手が出ているから、僕もプロ野球選手になってみたいと思いました」

地元も期待するのは、WBCでの世界一です。

佐々木朗希投手:
「トップチームで日の丸を背負うので重みとかはちがうと思うので戦っていけるように頑張りたいなと思います」

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