ベトナム人元実習生「本当に心から嬉しい」双子遺棄事件で逆転無罪判決[2023/03/24 18:05]

 死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われた元技能実習生のベトナム人女性が最高裁で逆転無罪になったことを受け、「本当に心からうれしい」と喜びを語りました。

 熊本県芦北町で技能実習生だったベトナム人の女性(24)は2020年11月、実習先の寮で死産した双子の遺体を遺棄した罪に問われました。

 女性は「妊娠が分かれば帰国させられる」と考えて周囲に相談せず、死産の翌日に病院を受診したことで事件が発覚しました。

 裁判で争点になったのは、遺体を二重にした段ボール箱に入れて接着テープで封をした女性の行為が「遺棄」にあたるのかどうかです。

 女性側は「埋葬する意思のもと行った安置である」として無罪を主張していましたが、一審と二審はいずれも「遺棄」にあたるとして、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

 女性側は判決を不服として上告し、最高裁は今月24日の判決で「遺体を隠し、他者が遺体を発見することが困難な状況を作り出した」と指摘しました。

 一方で「それが行われた場所や遺体の包み方、設置の方法などに照らすと遺棄にはあたらない」として、一審と二審の有罪判決を破棄して逆転無罪を言い渡しました。

 女性は判決後の会見で「逮捕されてから2年4カ月以上が経過し、ようやく判決の日を迎えました。無罪判決を聞き、本当に心からうれしいです」と喜びを語りました。

 そのうえで「妊娠して悩んでいる技能実習生や女性らの苦しみを理解して安心して出産できるような環境に、保護される社会に変わってほしい」と訴えました。

 最高検は判決について「検察官の主張が認められなかったことは誠に遺憾であるが、最高裁判所の判断であるので真摯に受け止めたい」とコメントしています。

 これで女性の無罪が確定することになります。

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