【独自】気象庁 約30年ぶりに新観測船建造 現場に密着[2023/03/25 13:06]

 温暖化や線状降水帯に対応するため、気象庁はおよそ30年ぶりに新しい観測船を造り、データ収集を強化します。ANNは建造の裏側に密着しました。

 去年10月、気象庁の一室では新しく造られる観測船の打ち合わせが行われていました。

 気象庁・江頭英夫観測船運用管理官:「こちらは新船の一般配置図になります」

 今回の取材で初めて明らかになった船の設計図。最大の特徴は…。

 気象庁・江頭英夫観測船運用管理官:「電気推進とエンジンとのハイブリッド推進装置を備えている。観測船では初めて」

 3台並んでいるのが発電機。重油だけでなく電気でも動くようになります。燃費が良くなって小回りも利くようになり、観測にも役立つということです。

 現在の凌風丸は1995年に就航。線状降水帯への対応や温暖化のデータ収集などで稼働日数は年間およそ270日。老朽化のため、およそ30年ぶりに観測船が新しく造られることになりました。

 特徴のもう一つは…。

 気象庁・江頭英夫観測船運用管理官:「この区画が女性専用ということになります」

 近年増えてきた女性観測員に対応し、女性専用のエリアが設けられる予定です。

 観測船にも乗船、気象庁・大気海洋部、赤松澪技術主任:「女性の環境が整うことで性別に関係なく色んな場面で活躍できる」

 船が造られているのは横浜にある造船所。去年11月、許可を得て中に入ることができました。

 船はブロックごとに組み立てられていきます。
 
 ジャパンマリンユナイテッド・高田修艦艇建造部長:「こちらが電力を供給する発電機」

 設計図で見た通り、発電機が3台並んでいます。

 今年2月、全長85メートルに及ぶ船体が組み立てられていました。

 特別にドックの中に入ると…。船の底は結構、大きいです。

 ジャパンマリンユナイテッド・高田修艦艇建造部長:「船は一隻一隻手作りです。特にこの船は気象観測に携わるというので、設計・現場の者、皆が我が子を育てるような思いで作っています。(この船を通して)気象災害が減少すれば技術者としてもうれしいと思う」

 船の進水式は来週29日。その後1年かけて、観測機器を設置するなどし来年春、いよいよ海に出る予定です。

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