予報士のつぶやき 六本木の中心で風をはかる[2023/03/30 17:26]

ニュースや天気予報を見ていると、「東京都心で今年初めて25℃を超えた」「秋田で7メートルを超える風が吹いた」など、たくさんのデータが出てきます。

気温や風速など、気象のデータを観測しているのは気象庁の「アメダス」です。降水量を観測するアメダスは全国に約1300カ所あり、皆さんのお住まいの地域にも設置されているかもしれません。

気象庁だけでなく、一般企業や地方公共団体なども気象観測の装置を持っていることがあり、その観測結果は防災のために利用されたり、電光掲示板などで一般にお知らせされたりしています。

実は、テレビ朝日でも雨や気温などの観測をしています。テレビ朝日のお天気コーナーで、東京・六本木の気温や湿度などが表示されているのを、ご覧になったことがあるかもしれません。この度、観測装置の入れ替え作業があるということで、実際に見学してきました。

雨量計や温度計は屋上に設置されていて、比較的人の目の付きやすい場所にあります。しかし、風向きや風の強さを観測する風向・風速計が見あたらない……!

それもそのはずです。普段は人が立ち入れない、屋上に建てられた塔の上に風向・風速計はありました。どうしてこんなに高所に設置されているのか、それには理由があります。

風は、周囲の建物などに影響を受けやすい存在です。風向・風速計は、平らで開けた場所に設置することが推奨されていますが、ビルが建ち並ぶ六本木の真ん中でそのような場所を探すのは極めて困難。このため、周囲の建物などによる風の影響を受けにくい高い場所に、風向・風速計を設置しているのです。

今回、風向・風速計が設置されている塔に特別に登らせてもらいましたが、かなり高所で足がすくみました。風向・風速計は、365日24時間、雨の日も風の日も高所で観測を続けています。お天気コーナーで、六本木のデータを目にする機会があれば、観測装置たちにもぜひ思いをはせてみてください。

テレビ朝日気象デスク 津田紗矢佳

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