予報士のつぶやき 「今年の桜は早すぎ もうここまで・・」[2023/03/30 17:53]

「桜」・・と言われるとパッと時期が想像できたり、「お花見」という言葉が出れば、体感や服装まで想像できる人もいると思います。

私たち気象予報士も、「桜満開のころの暖かさ」など、桜を例えに天気を伝えることもしばしばあります。

それだけ日本人とって、とても近い存在である「桜」。気象庁では1953年から70年もの観測記録が残っていて、そのシーズンの気温の特徴、長期的には気候変動を知るうえでも役に立つ資料です。

記事を書いている30日は宇都宮や金沢などで満開の便りが届きました。桜の開花がだんだんと早くなっていることは、皆さんも肌感覚で感じていることと思います。
今年も開花が早いというのはニュースになっていますが、通常、平年で考えると3月末の現在、桜は日本のどのあたりまで満開になっているのが普通なのか分かりますか?

実は平年で3月中にソメイヨシノが満開になるのは、全国で3カ所しかありません。
福岡(平年3/31)高知(平年3/30)東京(平年3/31)
九州から北海道まで48ある観測地点の中での3地点です。

今年はというと、すでに32の地点で満開になり、一番北は福島まで満開となっていて、ほとんどの地点で「過去最も早い開花や満開」となっています。

4月も高温傾向が予想されるなか、この流れは止まらず、北日本でもこの後、続々と統計史上最も早い開花や満開になりそうです。

平年で見れば、4月下旬に東北北部で満開になり、5月上旬、GWのころに北海道で満開を迎えるものですが、今年は4月下旬には北海道で満開を迎えることになるかもしれません。
さくらの開花には、冬がしっかり寒いことと春先に暖かいことが大きく影響します。
今年度は12月から1月が寒くて3月は異例の暖かさだったことが影響しているのでしょう。
また、長期的に見て開花が早まっているのは気候変動の影響を受けていると思われます。
これまで入学式のころの花だった桜は卒業式の花に変わっていくのかもしれません。

※文中の桜はソメイヨシノをさします
※現在、ソメイヨシノを観測しているのは全国で48地点です。

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