陸自ヘリいまだ不明 捜索難航…漁師も恐れる“カジマーイ”影響か 荒れる海で探せず[2023/04/10 10:48]

 陸上自衛隊の幹部ら10人が乗ったヘリコプターが消息を絶ってから、10日で5日目となりますが、行方は今も分かっていません。

 捜索が難航しているのは、漁業関係者らも恐れる“ある風”の影響かもしれません。

■「人のようなもの」通報 捜索も…発見に至らず

 6日、宮古島の基地を午後3時46分に離陸して10分後、伊良部島の北側でレーダーから消えた陸上自衛隊のヘリコプター。ANNが入手した、ヘリが消息を絶つおよそ3分前に撮影にされた映像です。

 動画を撮影した スティーブ・クリスティーさん:「地上からの高度約300メートルを飛んでいたと思います。真っすぐに飛び、音も通常通りでした。エンジンにトラブルがあるような変な音はしませんでした」

 事故から4日目となる9日。航空機6機、艦艇3隻、隊員370人で捜索が続けられましたが、ヘリに乗っていた自衛隊・第8師団の師団長など幹部ら10人の安否は今も不明のままです。

 住民:「船もこれだけ出ているので。捜索で一日でも早く見つかってほしい」

 8日午後7時すぎ、「人のようなものが浮いている」との通報が入り、捜索を行いましたが、発見には至っていません。

 9日午後になり、第11管区海上保安本部は“燃料タンク”の一部とみられる漂流物を回収したと発表しました。

 島の周辺では、これまでもバラバラになった漂流物が複数、回収されています。発見された場所を見てみると、南北の広い範囲に分散していることが分かります。

■漁師も恐れる“カジマーイ”…荒れる海で探せず

 宮古島や伊良部島付近で20年以上、釣りやシュノーケリングなどのガイドを行う男性によれば、捜索が難航している原因は、「今の時期ならではの風」が関係しているのではと話します。

 「和剛丸」芦川剛志さん:「(事故当日の6日は)夜になって、南風から北風に変わった。今の季節、(ニンガチ・)カジマーイといって、風が回るといった季節。急激に(風が)変化しやすい時期」

 「ニンガチ・カジマーイ」とは、沖縄で昔から言い伝えられている春先にかけて、穏やかな南風から強い北風に急変する現象のこと。漁業関係者には、台風の次に海が荒れる日として恐れられています。

 芦川さん:「(事故当日夜から7日かけて)海上保安庁とか自衛隊とか、大きな船は(捜索に)出せるけど、ゴムボートとか小型船は(捜索に)出せない状況」

 7日の捜索の映像を確認してみると、「カジマーイ」の影響でしょうか。ヘリを捜索する船も大きく揺れているのが確認できます。

 4年前の3月に撮影された映像。正面に見えるのが、伊良部島の白鳥崎。ヘリが消息を絶った場所の近くです。乗客も強風にあおられないように、身をかがめています。

 事故当日の夜は、この動画を撮影した日の「3倍近くの波の高さ」だったといいます。

 防衛省は事故調査委員会を立ち上げ、原因の特定を進めています。

(「グッド!モーニング」2023年4月10日放送分より)

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