不審物騒動 中身はカップ麺入った“落とし物” 迫る広島サミット 観光名所で困惑も[2023/04/26 19:48]

 JR広島駅の商業施設で起きた不審物騒動から一夜明け、不審な紙袋の中身が判明しました。G7(主要7カ国)広島サミットが迫り、警備体制が強化されるなか現地の観光名所では、ある方針を巡り困惑の声が広がっています。

■不審物騒動 紙袋の中身は

 事態が大きくなった背景には、来月に迫ったG7広島サミットの警備強化も影響していたのでしょうか。

 運転見合わせのアナウンス:「広島駅構内『エキエ』の中で不審物が発見されまして、現在警察隊による撤去作業が実施されています」

 不審物が見つかったのは、25日正午すぎ、JR広島駅の商業施設「エキエ」2階の男子トイレです。

 飲食店の従業員:「館内放送で『不審物があるので皆さん逃げて下さい』」

 警察によりますと、男子トイレで見つかった不審物は、白と黒のチェック柄の紙袋。縦45センチ、横30センチほどの大きさだといいます。

 その中には、アタッシェケースが入っていましたが、新聞紙が置かれていて、はっきり見える状態ではありませんでした。

 警察の爆発物処理班などが出動。

 客や従業員が避難したほか、山陽新幹線も、新大阪−博多駅間の上下線で一時運転を見合わせるなど物々しい雰囲気に…。

■中身はカップ麺入った“落し物”

 その後の調べで、アタッシェケースの中身が判明。カップ麺やノートなど、食料品や日用品が入っていました。落とし物として届けが出ていたものと一致しているということです。

 G7サミットを控える広島では、来月19日から21日の開催に向け、警備体制が強化され、警戒が高まっています。

 サミットの会場は、グランドプリンスホテル広島。期間中は、広島市中心部の広い範囲で、交通規制が掛かるとみられます。

 日本での開催は、2016年の伊勢志摩サミット以来、7年ぶり。各国の首脳が参加するため、厳重な警備体制が敷かれます。

 ただ、サミットの警備を巡っては、日本屈指の観光地から、困惑の声が出ています。

■観光名所「宮島」で客制限?

 日本三景の一つで、「神の島」とも呼ばれている、宮島。世界文化遺産の厳島神社は、海に浮かんでいるように見える大鳥居や社殿が神秘的です。

 コロナ前には、年間300万人以上が訪れ、最近では、多くの外国人観光客も戻ってきています。

 ところが、サミットの“ある方針”について、島内の旅館は疑問を呈しています。

 錦水館・志熊聡総支配人:「(広島サミットの)意義はすごく重いものだと思っている。(誰かが)あおりを食う。しわ寄せを受けるのはあっていいのかという疑問は禁じ得ない」

 G7の首脳ら各国の要人が宮島を訪問する可能性があり、それが正式に決まった場合、観光客が宮島に入ることを制限すると、廿日市市が発表しています。入島制限は、サミット前日の来月18日正午から始まり、サミット2日目の午後2時に解除する想定だといいます。

 錦水館・志熊聡総支配人:「決められたことなので従わざるを得ないとは思うが、何か配慮のある対応ができなかったのかなと」

 旅館は、7割ほどの予約をすべてキャンセル。ただ、海外の5組とは連絡がとれていません。そうしたなか、24日、行政側の事務局から、突然の方向転換が。

 広島サミット県民会議事務局:「どうしても事前連絡の取れなかった方などには、一時識別証を発行する方針です」

 錦水館・志熊聡総支配人:「とりあえず(島に)渡ってもらうので、営業してくださいという意味合いのことを言われるのは(これまで)予約した皆様に対しても不公平だし、今さら営業するとなると私どもも色んな準備が掛かってくる」

 すでに、厳島神社は、来月19日から20日の午後2時まで参拝客の受け入れを取りやめると発表しています。

 宮島の土産物店からも、嘆きの声が…。

 土産物店「鳥居屋」・佐々木健一社長:「もともと5月は観光シーズンのひとつ。(サミット期間中は)店を開けてもお客様は少ないし、その期間は店を閉める状態になり結構痛手ではある。『保障は一切しません』という説明。台風が来たと思って、あきらめるかという声も結構ある」

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