「注文に時間がかかるカフェ」 きつ音の若者が接客に挑戦[2023/05/13 12:22]

 言葉が滑らかに出ないきつ音の若者たちが接客に挑戦する一日限定のカフェが都内で開かれました。

 3日、東京・中野区で一日限定で開かれたのは、きつ音の症状がある若者による「注文に時間がかかるカフェ」です。

 「きつ音」は話し言葉が滑らかに出なかったりどもったりしてしまう障害の一つで、国内には100人に1人、およそ120万人いると言われています。

 大学1年生の遠藤駈さん(18)は小学校低学年のころからきつ音の症状に悩むようになったと言います。

 遠藤駈さん:「きつ音が理由で『これができない』というのはやっぱり自分としても悔しい。もっと理解してほしい」

 きつ音は幼少期に発症する場合が多く、7割から8割の人が自然に治るとされていますが、言語訓練やカウンセリングを受けて症状が回復することもあると言います。

 ただ遠藤さんは、「きつ音は個性なので、そのままの自分を受け入れてほしい」という思いからこのカフェに参加しました。

 遠藤駈さん:「他の人と同じように接してもらえるとうれしいです」

 症状は人それぞれですが、「落ち着いて」などと途中でさえぎったり、臆測して代わりに言ったりせずに、言い終わるまで待ってほしいということです。

 カフェの発案者・奥村安莉沙さん(31):「(言葉に)詰まった時に変な目で見られちゃったりとか、『言えないから(夢を)諦めないといけないのかなって』悔しかったです」

 このカフェを企画したのは自身もきつ音の奥村安莉沙さんです。きつ音があっても自信を持って接客ができるカフェを作り、「若者を応援したい」との思いから始まりました。

 カフェを訪れた親子:「息子がきつ音があるんです。自分だけじゃないというのを初めてきょう知ったと思うので、それが心のどこかで強い気持ちにつながればいいなと思いました」「楽しかった」

 遠藤駈さん:「接客に対する自信っていうのは付いたと思いますし、どもっても良いんだっていうのを実感できた。すごく自分にとって有意義な時間になりました」

 「注文に時間がかかるカフェ」は今後も全国を回りながら開催される予定です。

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